朝晩はまだまだ冷え込むものの、兵庫県三田市内でも日中は10度を超える日が出てきた。春以降、ハイキングを楽しむ人が増えるため、三田市消防本部と県消防防災航空隊は4日、有馬富士(標高374メートル)=同市福島=で山岳救助を訓練した。隊員らは救出の手順を確認し、登山での遭難や滑落への注意を呼び掛けた。(喜田美咲)
ヘリコプターを使った合同訓練は年2回、隊を分けて実施している。この日は同本部から救助隊員ら13人と航空隊から6人が参加した。
訓練は山頂付近で登山者が約10メートルの崖下に滑落した-との想定で開始。救助隊は、傾斜は急だが最短で行けるルートを通って麓から約15分で現場に到着し、丈夫な木にロープをくくり、崖を下った。要救助者に「もう少し頑張りましょうね」と声を掛けながら体を担架に固定し、慎重に引き上げた。救出が完了すると、航空隊のヘリが山頂からけが人を収容し、着陸した駐車場で救急隊に引き継いだ。
訓練後、同本部警防救助係の平野健太さん(42)は「スムーズに運び出し、航空隊との連携はうまくいった」と振り返った。
同本部によると、2017年からの約5年間で山岳救助の出動は9件。登山道のある山がほとんどだが、うち遭難が5件、急病やけがが4件となっている。
三田の山は比較的低く、市街地から近いこともあり、軽装で気軽に登りに来てしまうことに危険があるという。同本部は、下調べをして計画を立てることや、食料や暖かい服装などを備えることを呼び掛けるとともに、「夜間はヘリが飛べないので、迷ったり、けがをしたりした時は早めに通報してほしい」としている。