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市民の安全守ったはしご車 第2の人生は「驚き」のエンタメ界へ

2022/03/24 05:30

 ご苦労さまでした。第2の人生も輝いて-。兵庫県三田市消防本部で22年間、市民の安全のために活動してきた15メートル級はしご車が、車両更新に伴う売却で東京のイベント会社の手に渡ることが決まった。人命救助からエンターテインメントの世界への転身。市は今後の活用方法にも期待している。

 市が2月末に実施した「KSI官公庁オークション」で決定。最低価格は30万円に設定し、20件の入札があった。

 落札額は予定の5倍以上になる171万7171円。プロジェクションマッピングなど特殊効果を使ったイベントや、アーティストのライブを企画する「TOOMO(トゥーモ)」(東京都新宿区)が提示した。

 同社によると、具体的な活用方法は検討中だが、ホテルのイルミネーションイベントで、はしごを使って来場者に上から景色を見渡してもらうことや、ライブ会場で歌手が客席を回るのに使うなど、さまざまな可能性を考えている。

 「やっと購入できました」と同社の広報担当者。各地のはしご車オークションに挑戦し、三度目の正直だという。同業他社ではしご車を持っているという事例を聞いたことはなく、独自性が出せるのではと期待する。購入価格に関しては「基準が分からなかったので直感です」と笑う。

 三田市では更新などで不要となった公用車を出品しており、2012年以降救急車など計22台の公用車を出品した。軽乗用車などは下取りに出しているため、特殊な車両に限定。市契約検査課の担当者は「特殊な車両は市場に出ることが少なく、高値となる傾向にある。売却額は市の収入となるのでありがたい」とする。19年には高所作業に使えるとして、島根県の建設業者が50メートル級のはしご車を165万円で落札している。

 今回売却が決まった15メートル級はしご車は1999年に導入したモリタ製で、年間6件前後の火災や救助に出動してきた。三田市消防本部で定めた更新基準は20年だが、出動頻度の多い救急車の買い換えを優先し、ずれ込んでいた。

 市の担当者は「50メートル級はしご車の価格を上回ったのはもちろん、人を楽しませるイベントで使ってもらえることに驚いたし、うれしい」と話した。(喜田美咲)

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