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多種多様、ハロウィーン彩る「おもちゃカボチャ」…って? 食用ではなく観賞用、「広大」な大地で実るんです

2022/10/29 05:30

 ハロウィーンの飾り付けなどに使う「おもちゃカボチャ」がスーパーの売り場を彩っている。兵庫県三田市のイオン三田ウッディタウン店ではお盆過ぎから売り場を設け、黄や緑の愛らしい品々が並ぶ……って書きかけてみたんですが、みなさん、おもちゃカボチャって知っていましたか? 筆者は知りませんでした。無知ですみません。(土井秀人)

 きっかけは、北摂総局にかかってきた電話だった。「多分、おもちゃカボチャだと思うんですが。今年は特にたくさんの種類ができまして」。おもちゃ? カボチャ? 何のことかさっぱり分からないので、とりあえず取材に向かった。

 中後茂さん(86)=同市=宅の縁側には、それが、ずらりと並んでいた。形はさまざまで、ウリやヒョウタンのよう。ゴーヤーのようにイボイボのものもある。どれも手のひらサイズで、白や薄緑の単色から、黄と緑の2色のもの、しま模様と多種多様だ。おそらくどれも、おもちゃカボチャだという。

 5年ほど前、種を買って畑にまいた。放置すると毎年実を付け、今年は驚くほど多くの種類が実った。「なんでこんなにできたのか分からない」という。

 そもそも、おもちゃカボチャとは? インターネットで調べると、フリーマーケットアプリ「メルカリ」や通販サイト「楽天市場」などで売られていた。家庭や店舗がハロウィーン用に装飾した画像もあり、定番のジャック・オー・ランタンや、アニメ映画のキャラクター「ミニオン」を作ったものもあった。

 JA兵庫西(同県姫路市)によると、おもちゃカボチャは通称で、観賞用のカボチャの種類を指す。中後さんの畑で採れた画像を確認してもらうと、どれもそうだという。担当者は「購入した種にいろんな種類が入っており、これまでは目立たずに育っていたのが、今年になってたくさん実を付けた可能性がある」とする。

     ◇

 食用ではなく観賞用。一体どんな農家が育てているのか。三田市を含むJA兵庫六甲管内では神戸市西区の2~3人が栽培に力を入れているが、産地というわけではないという。

 取材を進めるうち、北海道が大きな産地だと分かった。中でも道中部の「北育ち元気村花き生産組合」は有数の規模で、ホームページで23種類のおもちゃカボチャを紹介している。電話で尋ねると、主に切り花を育てており、卸売市場からの要請でおもちゃカボチャの生産を始めたという。昨年は約30万個を出荷し、関西や関東で流通。ハロウィーンシーズンにはスーパーや雑貨店に並ぶ。

 イオンでは10年以上前から各店舗で扱っており、さほど珍しいものではないようだ。他のスーパーも含め、置く場所は花売り場や野菜売り場などさまざまだった。JA兵庫六甲の担当者は「スーパーによく行く人なら存在を知っていると思う。ただ、店によって置く所が違うから目に入らない人も多いのでは」とする。

 カボチャの花言葉は「広大」とのこと。農村、市街地、ニュータウンがある広大な三田の地に学び、記事として伝えられるよう、精進します。

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