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 厚生労働省は9月、再編・統合の議論が必要な公立・公的病院の一覧を公表しました。突如、名指しされた全国424病院の関係者は反発し、地域住民の間に「地域の病院がなくなるのでは?」との不安が広がっています。医療費抑制が急務となる中、需要に合わせて病床数を調整する「地域医療構想」が進んでおらず、国は各地域で再検証するよう求めています。病院の再編・統合はどうなるのでしょうか。(篠原拓真)

■目的は医療費抑制

 国が再編・統合の議論を推し進める背景には、増大する医療費の削減▽病床数の適正化▽人材集約化による医療の質の担保-などの理由があります。

 2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療の需要はますます増加すると見込まれます。各都道府県は、25年に必要となる病床数を機能別で推計。より重症な患者を治療する「高度急性期」や手術などの治療をする「急性期」の病床が余る一方、リハビリなどで在宅医療につなげる「回復期」がより必要となるとされました。

 急性期などの病床は看護師の配置が手厚く、診療報酬も高いため、これらの病床が多ければ医療費膨張の要因となります。国は25年に向け、病床転換や削減で適正化を図ろうと、各地域で「地域医療構想」を策定することを求めました。しかし、各地域での議論の結果、多くの地域で現状維持に。そのため、国は再編・統合の必要な病院を実名公表することで再び議論を促そうとしたのです。

 厚労省は今回、17年度のデータを基に高度急性期と急性期の病床がある全国1455の公立・公的病院の診療実績を分析しました。

 研修・派遣機能▽へき地医療▽災害医療▽周産期医療▽小児医療▽救急医療▽脳卒中▽心筋梗塞などの心血管疾患▽がん-の9項目で実績を調べ、「診療実績が特に少ない」または「車で20分以内に類似した診療実績を持つ病院がある」のいずれかに当てはまる病院を公表しました。病院の廃止や縮小、診療科の他病院への統合などを議論するように促しています。

■地方から強い反発

 国の唐突な病院名の公表に対し、地方からは「地域個別の事情を無視している」「都市部への一極集中を助長する」など大きな反発の声が上がりました。

 10月には総務省が仲立ちする形で全国知事会、全国市長会、全国町村会と厚労省が協議の場を設けました。しかし、鳥取県の平井伸治知事は「地域の医療機関がなくなったら命や健康は誰が守るのか」と批判。大阪市内であった兵庫県など7府県の自治体関係者や病院関係者らと厚労省との意見交換会でも、戸惑いや不安の声が上がりました。

 兵庫県は近畿地方では最も多い15病院がリストに上がり、中には県立リハビリテーション中央病院(神戸市西区)や国立病院機構兵庫中央病院(三田市)など専門性の高い病院も含まれています。

 国が公表の基準とした項目に対し、兵庫県の担当者は「数字だけで機械的に判断している。リハビリテーション医療など地方では9項目以外に医療機関が担う重要な役割がある」と指摘。基準では、へき地に医師派遣などを行う「へき地拠点病院」は評価されるが、「へき地に病院を構えて医療を行うだけでは評価されていない」と今回の公表には懐疑的です。

■議論の期限は?

 今すぐに病院がなくなるわけではありません。厚労省は来年9月末を期限に、公表結果を基に再度議論するよう求めています。兵庫県によると、同省からの再検証要請通知を受け、地域ごとに「地域医療構想調整会議」を開催。医療関係者らが集まって病院の再編・統合などについて再び検討します。

 今回、大きな反発を招いた病院の再編・統合問題ですが、安倍晋三首相は経済財政諮問会議で病院の再編・統合などの推進に意欲を示しました。公立・公的病院に続き、民間病院の診療実績も公表するそうです。

 公立病院の多くは赤字経営で、その繰入金が自治体の財政を圧迫しているとの指摘もあります。医師の働き方改革で、24年度からは勤務医の残業規制も始まる予定で、医師不足に直面する病院も少なくありません。病院の診療体制見直しは急務ですが、強引に進めると大きな混乱を招きます。地域住民や自治体の意見も踏まえた議論が必要です。

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