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甲南大・大西彩子准教授
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甲南大・大西彩子准教授

■閉鎖的で病んだ「集団規範」

 私が気になったのは、東須磨小学校の職員室の「集団規範」だ。集団規範とは学級や職場など集団内で共有される「暗黙の了解」というか、「空気を読む」という時の「空気」のことを指す。

 深刻ないじめは加害者、被害者だけでなく周りを巻き込んで生じる。いじめがある学級の集団規範はいじめに対して甘く寛容。傍観者は見て見ぬふりをし、観衆は「やれ、やれ」とはやし立て、加害者は調子に乗って誰も止めない-という構図になる。

 逆に集団規範がいじめに対して厳しい場合、傍観者は加害者に冷ややかな目を向け、「やめなさい」という仲裁者が現れる。

 今回、校長に進言した教員はいたが、仲裁者は現れていない。加害教員が明らかに間違った行為をしても、誰も制止しないのはよほどの状況だ。「強い者は何をしても許される」という、ゆがんだ集団規範が存在したのだろう。

 集団規範はリーダーに大きく左右される。学級なら担任や発言力のある児童・生徒。職員室なら校長、教頭だ。だが今回の対応を見ると、職員室の空気を修正すべき校長自身も、既存の集団規範にのまれていたように見える。

 胸が痛いのは、この小学校で児童間のいじめの件数が増えたというニュースだ。教師が不適切な権力行使をするほど、子どものいじめに対する集団規範は緩み、加害傾向が増すことが分かっている。例えば、激辛カレーを食べさせたことを笑いながら児童に話せば「気に入らない人にはそんなことしてもいいんだ」というゆがんだ認知が伝わる。

 加害教員だけを罰して排除したら済む話ではなく、こういう事態が起こりうる教育体制自体に問題がある。閉鎖的で病んだ集団規範がまん延していないか、定期的に学校現場を点検するシステムが必要だ。(聞き手・長谷部崇)

【おおにし・あやこ】 1980年京都府生まれ。甲南大学文学部人間科学科准教授(心理学)。いじめが起こるメカニズムの研究や、いじめを防止するための研修などに取り組んでいる。

    ◇     ◇

 さまざまな分野の方に聞くリレーインタビュー「先生はいま 私の考え」は随時、掲載します。

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