兵庫県の井戸敏三知事は6日の県議会本会議などで、プロペラ機しか発着できない但馬空港(豊岡市)の滑走路(1200メートル)を延長する方針を明らかにした。ジェット機が就航可能な2千メートル級に延ばし、羽田直行便やアジアへの国際便就航、格安航空会社(LCC)の誘致を視野に入れる。来年1月に有識者や地元代表者らでつくる懇話会を設置し、年末までに機能強化の内容を検討する。
同空港は1994年に開港。現在、但馬-大阪(伊丹)間で1日2往復、運航している。座席数48席の新型機を導入した2018年度は過去最多の4万2220人の利用客を記録した。
ただ、同じ日本海側にある近隣空港と年間利用客を比べると、鳥取空港が41万人、米子空港が69万人、出雲空港は100万人と大きく水をあけられている。
今年3月の航空法施行規則改正で、27年3月までに滑走路外側の安全区域を100メートル拡張する必要性が生じた。県はこれを機に滑走路の延長を検討。井戸知事は「(他の3空港と同様に)ジェット機の発着を可能にすることや、羽田便など多彩な路線展開が必要」と理由を述べた。
滑走路が2千メートル級になれば、160人乗りのジェット機が就航可能となり、悲願だった羽田直行便の実現性が高まる。韓国や台湾など近距離アジア圏をつなぐ航路も現実味を帯びる。懇話会では国際化の可能性やLCCの誘致、需要見込みのほか、費用対効果などを加味して検討する方針。
井戸知事は「鳥取、米子、出雲空港は開港後10~20年の間隔で数回滑走路を延長している。25年を経過した但馬空港も機能強化に取り組みたい」と強調した。
自民党の春名哲夫県議(宍粟市選出)の代表質問に対し井戸知事が答えた。(前川茂之)
■豊岡市長「観光効果に期待」
兵庫県の井戸敏三知事が6日、但馬空港の滑走路(1200メートル)を延長する方針を明らかにしたことに対し、地元豊岡市の中貝宗治市長は「この機会にぜひ滑走路の延長と東京への直行便の実現について積極的に検討してほしい。但馬の地方創生の強力なエンジンになる」と期待した。(1面参照)
また「どれだけの費用になるのか、滑走路の延長が可能でも就航する航空会社があるかが今後の課題だと思うが、前に進むしかない」といい、「但馬への観光客は関西圏の比重が大きく、東京と結ばれることで関東圏という巨大なマーケットと直結でき、観光にとって大きなプラスになる」と話した。(石川 翠)
