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 死生観やみとりについて神戸新聞社が行ったアンケートで、病気やけがで命の危険が迫り回復が見込めない場合、人工呼吸器などによる延命治療を「望まない」とする人が95%に上った。世代別では65歳以上の割合が最も多く、回答した268人のうち260人を占めた。また、何歳まで生きたいかとの質問では、具体的な年齢を答えた人の半数が、平均寿命(男性81・25歳、女性87・32歳)に近い80歳代を挙げた。

 アンケートは10~11月、高年(65歳以上)▽中年(40~64歳)▽若年(39歳以下)-の世代別に分けて、インターネットなどで実施。10~90代以上の739人が回答した。

 延命治療を「望まない」とした人の割合は、高年が97%、中年(回答者380人)が96%、若年(同91人)が86%-と年齢を重ねるほど高かった。男女別では男性(同278人)93%、女性(同461人)96%とあまり差はなかった。

 死が迫った状態での延命治療には心肺蘇生や気管に管を入れる気管挿管、人工呼吸器の装着などが挙げられる。これらの治療は生命を維持する一方、口からの食事や声を出すことが難しくなるとされる。

 妻を亡くした神戸市灘区の70代男性は「延命治療をあまりすべきではなかった。苦しかったと思う」と振り返り、自身は延命治療を望まないとした。同市西区の70代男性は「延命治療を見ていると人間の尊厳はどうなっているのだろうと考える」と記した。

 一方、延命治療を望むとした同市垂水区の40代主婦は、障害のある子どもが手術や経管栄養を何度か経験したといい、「今は『延命をしないで』と思っている人も、その時にならないとどうしたいかは分からないのでは」とつづった。

 延命治療を巡っては、総務省消防庁が昨年、全国の消防に心肺蘇生を望まない患者への対応を調査。全体の14%が医師からの指示など一定の条件下で、救急隊による心肺蘇生の不実施や中止を認めている。

 鳥取大医学部の安藤泰至(やすのり)准教授(死生学)は「延命治療という言葉そのものに、生活の質が低いまま命を延ばすという悪いイメージがある」と指摘。「医療者は延命治療が一概に悪いのではなく、患者の病状や年齢、環境によって善しあしがあることをしっかり伝える必要がある」と話す。

 また、何歳まで生きたいかとの問いには586人が具体的な年齢を記し、半数が80~89歳とした。平均は83・9歳で、男女別では男性85・6歳、女性82・8歳と男性の方が高かった。年代別では若年89・4歳▽高年86・7歳▽中年80・4歳-の順となり、若年世代が最も長生きを望んでいる。(田中宏樹)

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