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徳島県上勝町
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徳島県上勝町
ごみステーションには整然と分別用ケースが並ぶ
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ごみステーションには整然と分別用ケースが並ぶ

 人口1500人の徳島県上勝(かみかつ)町は、ごみの焼却・埋め立て処分をなくす「ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)」を日本で初めて宣言した自治体だ。現在、ごみの分別は45品目に及び、リサイクル率は81%を誇る。行政と連携してごみ削減に取り組むのが、NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー。理事長の坂野晶さん(30)=兵庫県西宮市出身=は今年1月、スイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で共同議長を務め、次世代リーダーとしても注目を集める。四国で一番小さな町から見たごみ問題、環境活動をリードする若い世代の思いを聞いた。(松本茂祥)

 -上勝町との縁は?

 「大学の同期が上勝町出身で故郷でカフェを開業し、私が手伝いに来たのが縁です。その後、ゼロ・ウェイストアカデミーの活動に参画しました。ここでの生活はプラスチックごみを出さない、そういうものは全く買わないというわけではありません。昨夏から飲食店で始めたのは、米やしょうゆ、パスタなどの量り売りで、容器持参で利用します。卵は1個から買える。お店で使う食材を売ってもらうので仕入れ値ベース。スーパーより安いんですよ」

 -ゼロ・ウェイストアカデミーの活動を教えてください。

 「町がゼロ・ウェイスト宣言をしたのが2003年。さらに行政と一緒に活動を推進する主体として05年、このNPOを立ち上げました。今は町にアドバイスしたり、相談に乗ったり。先ほどの量り売りや分別、リサイクルなどゼロ・ウェイストに取り組む店を、独自の基準で認証する制度も実現しました」

 -分別を45品目まで増やしました。苦労が多かったでしょう。

 「焼却や埋め立てに行かざるを得ないごみを、リサイクルできるところはないかと探した結果です。最近では、内側にアルミが貼り付いた紙パックが分別の一つに加わった。NPOの職員が講演に行った先などで情報交換を通じて業者を見つけ、リサイクルにつながりました」

 -ごみは毎日出ます。どこから手をつければいいか、切実です。

 「日々の取り組みの中で維持する難しさ、さらに突き止めていく難しさはあります。高齢化が進む中で、住民が参加し続けられるにはどうすればいいのか。維持する上での課題です。そもそも分別してもリサイクルできるのは8割までで、残り2割は再利用する前提で作られていないものが大半です。処理に困らない製品にするために、ものづくりの上流が変わらなければならないことはたくさんあります」

 -メーカー側の理解ですね。

 「企業は最近、サスティナビリティー(持続可能性)への取り組みに力を入れていますが、何か良さそうだと表面的になぞることと、製品や生産方法を変えることとは別です。量り売りの導入前に手掛けた実証実験には、消費財のメーカーも参加しました。プラごみの問題では企業もいろんな選択肢を検討しています。パッケージなしの販売法も一つの可能性として追求したい。地域で試せることは企業にとってもチャンスになるはずです」

 -ごみを減らすために人の意識を変える難しさは感じますか。

 「正直、人の意識が変わって行動が変わるのは理想論だと思う。人はやすきに流れる。人が流れそうなルートで、リサイクルやごみを減らす仕組みをつくっていく。消費者の意識が変わるより、ものを作る仕組みが変わる方が先だと思います」

 「現在の消費モデルは一方通行です。資源を採取し、製品を作って消費者が使い、回収されたごみはリサイクル業者や焼却炉に運ばれます。これに対し、オランダのあるジーンズメーカーは、基本的には売らず、レンタルします。客はレンタル料を払って1年間借り、続けて料金を払うとまた新しいのがやって来る。そこはオーガニックコットンを原料とし、回収することで継続的に資源を確保する。こうした循環型経済が、これからの理想的なモデルの一つだと思います」

 -世界は進んでいるんですね。

 「環境問題全般で言うと、気候変動を抑えるために肉を食べない方が良いとかいろんな考え方がある。私もできる範囲でやりますが、全員が自発的にやるのは無理だし、仕組み自体を変えていかないと」

 「現状では、私たちが消費活動をすればするほど地球環境は悪化する。そうではなく、普段の暮らしの延長線上に環境が良くなる状況があるというのが、仕組みの転換だと思います。例えば洗剤です。使って流すほど水をきれいにするようになれば面白い。実際に浄化作用がある菌を活用し、河川がきれいになる洗剤を製造している人もいます」

 -スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんに見るように、若い世代が環境問題で世界に発信しています。

 「50年後を想像したとき、今のままではうまくいくはずがないというリアルな危機感が背景にあると思います。気候変動など地球規模の問題も、現在の社会構造では加速するのは目に見えている」

 「現在の世界人口は半数以上が27歳以下。若い世代がマジョリティー(多数派)です。若手リーダーという枠組みでダボス会議に6人も呼ばれたのは、そうした世界構造を反映するためでした。会議では、経済を考える上でもサスティナビリティーが大前提というのが共通認識でした。若者の数でも持続可能性について考える発想でも、私たちは日本ではマイノリティー(少数派)ですが、世界ではマジョリティーだと実感できました」

 -上勝を足場にやりたいことは。

 「上勝町という一つの地域で何ができるか、あるいは何が限界か、が明確になってきました。もっと人口規模が大きく生活スタイルが異なる地域で実践していくことで、大きな横軸を通すことができると証明したい。また、企業が変わる必要があるとなれば、そのお手伝いをする。両方必要だと思う。日本は中小企業が多く、分かっていてもなかなか対応できないのが実情だと思います。補助金や規制で誘導する仕掛けづくりは国の政策としてやればいい。私たちは、ごみを出さない社会へと変える切り口を企業や行政などと一緒に考えていこうと思います」

【さかの・あきら】1989年西宮市生まれ。関西学院大で環境政策を学ぶ。会社勤めなどを経て徳島県上勝町へ移住。2015年からゼロ・ウェイストアカデミーの4代目理事長。夫と娘(1歳8カ月)の3人家族。

■ひとこと

 上勝町のごみステーションを見て、自分もアクションを起こさねばと痛感する。世はクリスマスシーズン。簡易包装を店員さんにお願いするところから始めよう。世の中からごみ箱がなくなる日を想像して。

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