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幼い頃からインターネットに親しむ子どもが増えている(写真は本文とは関係ありません)
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幼い頃からインターネットに親しむ子どもが増えている(写真は本文とは関係ありません)
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 インターネットに熱中して生活に支障を来す「ネット依存」(病的使用)の傾向にある兵庫県内の小中高生の割合が、過去最多の10・3%(前年度比0・9ポイント増)に達したことが県の2019年度調査で分かった。このうち64・3%が「会ったことのない人とネット上でやりとりをしたことがある」と答え、16・5%は「実際に会ったことがある」とした。会員制交流サイト(SNS)を通じた事件が相次ぐ中でも、見知らぬ人と簡単に結び付くリスクへの認識の甘さが浮き彫りになった。(前川茂之)

■深刻化する高校生のネット依存

 調査は15年度から毎年実施。スマートフォン使用の低年齢化に合わせ、例年対象にしている小学5年~高校3年とその保護者に、小学1~4年も加えた計1万5584人から回答を得た。

 依存傾向にあるとされたのは小学5~6年で5・0%(前年度比0・1ポイント減)。中学生も8・8%(同0・2ポイント減)と減った。しかし高校生は14・7%(同2・6ポイント増)に上り、増加幅も5年間で最も大きかった。県青少年課は「高校生はほとんどがスマホを持っており、使い方も自分で判断しているケースが多いため」と分析する。

 また、依存傾向にある子どもは小中高ともに約3割が4時間以上ネットを利用。依存傾向にない子と比べ、小中高全体で「毎日が楽しくなった」(42・3%)との回答が高い一方、「寝る時間が遅くなった」(65・0%)、「成績が下がった」(31・5%)、「イライラすることがよくある」(25・4%)が2~3倍に上り、日常生活に強い影響が出ていることがうかがえた。

 依存傾向にない子も含め「会ったことのない人とネット上でやりとりしたことがある」との答えが小学4~6年で15・5%、中学で28・9%と年を追うごとに急増し、高校は52・5%に。ネット上で知り合った人と実際に会ったのは小学4~6年で2・2%、中学は3・3%、高校は11・9%と1割を超えた。

 県は「ネットの危険性を教え、閲覧を制限するフィルタリングの徹底を」と保護者らに呼び掛けている。

■閲覧制限、中高生6割のみ

 「家出したい」。8月に兵庫県内の女子中学生のツイッターを見た埼玉県の30代男=未成年者誘拐容疑で逮捕=は「養ってあげる」などとメッセージを送り約2カ月間、管理する借家に住まわせていたという。同じ家にさいたま市の女子中学生も住まわされていた。

 ネットを接点に子どもが巻き込まれる事件は後を絶たない。11月には、約1週間行方不明だった大阪市の小学6年女児が栃木県で保護された。30代男=同容疑で逮捕=からツイッターで自宅近くに誘い出され、スマートフォンや靴を没収され監禁されていたという。

 一方、兵庫県の2019年度調査では、子どもの行動を親が把握していない実態が明らかに。子どもが見知らぬ人と会ったことがあると知っていたのは、小学生の保護者でわずか0.1%、中学生では1.4%、高校生は5.4%だった。

 県は17年末改正の条例で、18歳未満が携帯電話を契約する際はネット閲覧を制限する「フィルタリング」を有効にすることを原則、保護者に義務付けたが、今回の調査で中高生の約6割にしか浸透していなかった。

 スマホ所有率は小学1~3年が13.5%、同4~6年が28.4%、中学は63.7%。高校は97.5%だった。

【インターネット依存】ネットやオンラインゲーム、SNSなどを使い過ぎて日常に支障が出る状態。暴力や引きこもり、うつ病や脳障害などを引き起こす恐れもある。兵庫県や独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の調査は、「使用時間を短くしたりすると落ち込みやイライラなどを感じる」「熱中し過ぎを隠すために家族や先生らにうそをついたことがある」など8項目中5項目以上の該当で依存傾向としている。

 

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