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せりふを考える子どもたちの様子を見る平田オリザさん=豊岡市土渕、中筋小学校
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せりふを考える子どもたちの様子を見る平田オリザさん=豊岡市土渕、中筋小学校
9月に開かれた「第0回豊岡演劇祭」で青年団が上演した舞台=豊岡市城崎町湯島、城崎国際アートセンター(同市提供)
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9月に開かれた「第0回豊岡演劇祭」で青年団が上演した舞台=豊岡市城崎町湯島、城崎国際アートセンター(同市提供)

 兵庫県豊岡市の「演劇のまち」化が進んでいる。今秋、市内に移り住んだ劇作家平田オリザさん(57)が象徴的な存在となり、国際演劇祭に向けて準備がスタート。市内の全小中学校では「演劇教育」を行い、2021年には演劇を学べる大学も開学する。人口8万人のまちがスポットライトを浴びている。(石川 翠)

 「タピオカの話題にしたらどうかな」「うーん、話がつながらない」-。

 11月下旬、中筋小学校(同市土渕)で、せりふを考える6年生。そばで平田さんが見守っていた。

 教材となっている対話劇「転入生がやってきた」は平田さんオリジナル。突然、やって来た転校生を巡って会話を練り上げ、発表した。男児(12)は「みんなが出したせりふのどれを選んでつなげるかを、話し合いながら考えるのが難しかった」。

 演劇的手法を用いた授業は17年から、小学6年と中学3年が受けている。平田さんは「異なる価値観や文化的背景をもつ相手と折り合いをつける力を養うことができる。これからの社会を生きる人には必要な力」と狙いを語る。

 子どもの数が少ない地域ならではの効果もあった。

 市内のほとんどの小学校は1学年1クラスしかないため、仲が良い半面、言葉にしなくても伝わり、関係性が固定化してしまう。演劇はそうした子どもたちが変化する機会にもなっているという。担任の沢野雅紀教諭(49)は「普段はおとなしい子が発言したり、目に見えて成長している」と手応えを感じている。

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 今年9月、城崎温泉街にある城崎国際アートセンター(KIAC)に演劇ファンが続々と訪れた。来年度の本格実施に向けた「第0回」の演劇祭は、前売りチケットが早々に完売。3日間で延べ約1400人が集まった。7割が市外からの来場だった。

 モデルはフランスのアビニョン演劇祭。人口は約9万人で豊岡市と同規模だが、1カ月間で千公演が行われる世界最大の規模だ。豊岡も、10年で世界有数の演劇祭を目指すという。

 2021年に開校する県立の国際観光芸術専門職大学(仮称)の学長候補でもある平田さん。主宰する東京の劇団「青年団」も来年には同市のJR江原駅近くに「江原河畔劇場」をオープンさせ、拠点を移す。

 同劇場近くの商店街で文具店を営む男性(57)は「閉店が相次いだ街がどのように変わるか想像がつかないが、劇団員を応援しながら、自分たちも新しいことに取り組んでみたい」と話している。

■富山、鳥取活気取り戻す

 「演劇のまち」は国内で他にもある。

 有名なのは、富山県利賀(とが)村(現南砺市)。1982年に演劇祭を始めた。豪雪地域の合掌造りの集落に古代ギリシャ風の野外劇場などを建設。面積の9割以上が森林で、人口500人に満たない地域に毎年、演劇人が集う“聖地”となっている。

 演出家鈴木忠志さんが、主宰する劇団「早稲田小劇場」(現SCOT)の拠点を移したのが始まり。今年8、9月には日本とロシア共催で開かれた国際演劇祭「第9回シアター・オリンピックス」の会場の一つとして、ロシアや米国、アジアなど16の国・地域から30作品が上演され、国内外から約2万人が訪れた。

 富山県利賀芸術公園の金田豊園長(65)は「地元住民の自信につながっただけでなく、交通の便が悪い山奥にスタッフが集まってくれるなど、交流人口が増えたことが大事」と話す。

 鳥取市でも、廃校を改修した劇場を拠点にする劇団「鳥の劇場」が2006年から、演劇による地域づくりに取り組む。演劇ファンだけでなく地元住民も多く携わり、演劇祭では町内の空き店舗も活用されて町中がにぎわう。18年春に開校した義務教育学校「鹿野学園」では独自教科の「表鷲(あらわし)科」で表現力の育成に力を入れている。

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