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 兵庫県西宮市の山岳会に所属する看護師の山本美雪さん(52)=大阪市東住吉区=が今年の1シーズンだけで、世界最高峰のエベレストなど標高8千メートルを超える三つの山に連続登頂した。偉業を成し遂げた瞬間、ポケットから取り出したのは9年前に亡くなった妹の写真。山に打ち込むきっかけをくれた最愛の存在だった。「あの子の分まで、まだまだ挑戦したい」。これからも姉妹で新たな頂を目指す。(初鹿野俊)

 美雪さんは2005年から、5歳下の妹春美さんと大阪の同じ病院で看護師として勤務。「みーちゃん」「はんちゃん」と呼び合い、2人で海外旅行にも出掛けた。

 08年秋、美雪さんは同僚に連れられ、大阪府と奈良県の境にある金剛山(標高1125メートル)に登った。初めての山登りだったが、紅葉の美しさやひんやりとした風に魅せられ、とりこになった。春美さんは引っ込み思案な姉が山に通う姿を誰よりも喜び、登山靴をプレゼントしてくれた。

 しかし同じ年に春美さんの乳がんが発覚。2年後、38歳で旅立った。「4人きょうだいで一番元気だったはんちゃんが最初に死ぬなんて」。悲嘆に暮れる中、生前の春美さんの言葉が頭をよぎった。「私に何があっても山は続けてね」。悔いなく生きたい-。遠ざかっていた登山を再開した。

 11年、仲間の紹介で西宮市のハイキングクラブに入り、14年にはより高度な登山に挑む同市の「甲山勤労者山岳会」にも加入した。

 昼間にトレーニングを積むため、看護師としての仕事は夜勤が中心。1週間テントを張って山で過ごし、岩場や雪山に登って技術を磨くことも。17年には初の海外で、ネパール・ヒマラヤ山脈にある標高6080メートルの未踏峰を踏破し、18年には同国の6千メートル峰を3座連続で制覇した。

 さらに今年5月、エベレスト(標高8848メートル)と、標高世界4位のローツェ(同8516メートル)をクリアすると、「まだいける」と偉業への挑戦を決意。2座に多額の費用がかかったため、初めて支援者らに資金協力を頼んだ。

 「みんなのためにも絶対に失敗できない」と重圧を感じつつも、9月には世界8位のマナスル(同8163メートル)に登頂した。山頂では、ダウンスーツの胸ポケットから春美さんの写真を取り出し、「はんちゃん、いつも導いてくれてありがとう」と手を合わせた。

 これまで登山に失敗したことがないという美雪さんは「目に見えないけど、春美のおかげ。チャレンジを続けたい」と意気込む。今後も8千メートル峰に挑み続けるつもりだ。

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