年末のうちに、相手方に届く年賀状があるらしい。(小川 晶)
東京・銀座=15%
大阪北=2・5%
神戸中央=0・6%
姫路=0・2%
各郵便局が扱った2019年の年賀状のうち、18年内に配達した割合だ。銀座局(東京都中央区)は丸の内の官公庁群やオフィス街を、大阪北局(大阪市北区)も梅田周辺の商業・ビジネス街を管轄する。大きな事業所が多いほど、「年内交付」の比率は高い。
「今年はいつ頃のお届けがいいですか」
12月中旬。姫路局(兵庫県姫路市)の局員は企業や官公庁に年内交付の希望を聞いて回った。仕事納めの日か、その前日の指定が多く、それまでに同局に集まった年賀状は正月を待たずに届ける。双方が合意した場合にのみ適用される配達方法だ。
「始まったきっかけや時期は不明だが、事業所と郵便局のそれぞれに利点があり、現在まで引き継がれている」。日本郵便広報室の担当者が説明する。
年末年始を休む事業所側からすると、正月に届いた年賀状は、仕事始めの日に確認することとなり、返信が遅れてしまう。年内に受け取れれば、すぐに投函することで、相手方の仕事始めに間に合う。
郵便局側は、配達が集中する元日用の業務が、いくぶん緩和される。量が多い企業や官公庁宛ての年賀状がさばけることで、保管場所の確保にもつながる。
同室によると、年内交付は地域差が大きいという。姫路局の場合、配達先の大部分を一般世帯が占めるため、19年の年賀状約313万枚のうち年内交付は6千枚ほど。一方、大都市の拠点郵便局は高率となり、銀座局は約407万枚のうち約15%に当たる約61万枚を正月前に配達した。
年内に配達する仕組みは原則、年末年始を休業する事業所のみを対象にしている。一般市民にはなじみが薄く、年末に出社し、事情を知らずに年賀状を受け取った社員から「誤配ではないか」との問い合わせが入ることもあるという。
同室は、年内交付はあくまでも事業所と郵便局の一対一の合意に基づくものとする。年末年始を休業する事業所ならではの配達方法のため、郵便局側で積極的に普及させるような意図はないという。年賀状の発行減と歩調を合わせるように、年内交付の件数も減少傾向にあるそうだ。