兵庫県内の保育施設の利用希望者が2020年4月時点で、過去最高の11万4450人に上る見込みであることが県の試算で分かった。政府や県は21年春の待機児童ゼロを目標に掲げるが、都市部を中心に保育ニーズは21年以降も高まり、待機児童ゼロを維持するには、24年4月までに新たな受け皿を約1万人分整備しなければならないことも判明。利用希望者が偏在して増え続ける上、保育士や新たな施設の用地確保は困難で、県内全域での待機児童解消は極めて不透明な状況だ。(前川茂之)
県は、20年度からの5カ年計画「ひょうご子ども・子育て未来プラン」を策定中で、18年秋~19年春に各市町が実施したアンケート結果などを踏まえ、初めて24年度までの見通しを試算した。
19年4月時点の利用希望者は11万1955人だったが、試算では20年4月にはさらに約2500人(2%)増える。女性の社会進出に加え、19年10月から始まった幼児教育・保育の無償化が影響したとみられる。希望に合う定員を見積もると、21年の目標達成には、19年よりも約8200人分の定員増が必要になる。
一方、少子化も進み、0~5歳の未就学児童は24年までの4年間で約2万人減少すると予測。県全体の保育ニーズは20年がピークで、21年以降は減少に転じ、24年4月には11万3545人になるとみている。
計画上は、20年に受け入れ定員数が希望者数を追い抜く。ただ、各地の保育需要のピークをみると、神戸市を含む6市町が22年4月、明石や西宮市など10市町は24年4月となる。目標とする21年以降、引き続き需要が高まる地域が偏在する。
また、人手不足が指摘される保育士の確保目標も試算。24年に必要な保育士は2万1337人とされ、18年時点から約4200人増やす必要がある。県は確保に向けて処遇改善や資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」の再就職支援などに力を入れる。
19年4月時点の兵庫県内の待機児童数は1569人。5年ぶりに減少に転じたが、東京、沖縄に次ぎ全国ワースト3位となっている。
■神戸、明石都市部に課題
保育ニーズのピークを2022年と見込む神戸市は、24年4月までに約3300人の定員増が必要になる。19年度の目標だった1200人の定員増はなんとか実現できる見通しがたったが、担当者は「保育士の確保も難しいし、条件の合いそうな市有地はもうほとんどない。施設整備のハードルは年々高くなっていくだろう」と頭を抱える。建て替え予定の市営住宅の活用など、確保に向けて知恵を絞る。
明石市は約3400人の定員拡大が必要となる。しかし、保育所用地の確保が困難で、昨年12月に19年度の受け入れ枠拡大を1200人から505人に下方修正したばかり。子育て層の流入が続いていることから「24年度以降の需要は、どうなるかは全く読めない」と嘆く。









