指定暴力団の山口組(神戸市灘区)と神戸山口組(同市中央区)による抗争事件が相次いでいるとして、兵庫と岐阜、愛知、三重、京都、大阪の6府県の公安委員会は7日、暴力団対策法に基づき活動を厳しく制限する「特定抗争指定暴力団」に両組織を指定したと官報で公示した。激化の一途をたどる抗争に歯止めをかけ、組織の弱体化を狙う。
神戸、尼崎、姫路、淡路市を含む6府県10市が「警戒区域」に設定され、組員らは区域内でおおむね5人以上での集合を禁じられる。敵対組員への付きまといや、県内では28カ所の事務所への立ち入りも禁止になる。違反すれば警察が逮捕できる。
7日午前、兵庫県警の捜査員が山口組の総本部(神戸市灘区)を訪れ、立ち入り禁止を示す「標章」を玄関などに張り付けた。捜査関係者によると、山口組総本部には昨年11月の使用制限命令後も、同本部に住民票のある住み込みの組員数人が滞在していた。しかし今回の特定抗争指定では建物への立ち入り自体が禁止されるため、既に無人となっているという。
特定抗争の指定は2012年12月に、いずれも福岡県に本部を置く道仁会と九州誠道会(現浪川会)に続き2例目。九州では抗争の終結につながり、14年6月に指定は解除になった。兵庫県警の捜査員も「山口組と神戸山口組が主要な拠点を失い、抗争が沈静化に向かうのではないか。資金獲得活動も難しくなり、組織力も弱まるだろう」と期待する。
一方で「警戒区域外ではいくらでも活動できる」との指摘もある。九州の2暴力団と違い、山口組と神戸山口組は全国各地に事務所があるためだ。実際、山口組が警戒区域外の事務所などで定期的な会合を継続するとの情報があるという。
警察当局は引き続き双方の動向を注視し、今回の指定に基づく規制の違反を厳しく取り締まる方針。









