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住み慣れた部屋でミシンを使って手芸をするのが生きがいという女性=神戸市兵庫区
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住み慣れた部屋でミシンを使って手芸をするのが生きがいという女性=神戸市兵庫区
神戸市長宛ての手紙の写しを手にする女性=神戸市兵庫区
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神戸市長宛ての手紙の写しを手にする女性=神戸市兵庫区

 迷惑をかけて心苦しい、でも、行き場がない-。阪神・淡路大震災の被災者向けに神戸市が賃貸で提供した「借り上げ復興住宅」の借り上げ期間が過ぎ、退去を命じる判決が確定した同市兵庫区の女性(81)が、転居先を見つけられず、昨年夏、神戸市長に手紙を書いた。20カ所以上の物件を回ったが、歩行が難しく、体調が優れない女性に適した住まいは見つからない。「生きてゆく道を閉ざされてしまった様に思えて、正直つかれてしまいました」。市長側からの返事はまだない。(小林伸哉)

 女性は神戸市東灘区で被災し、2002年8月に復興住宅「キャナルタウンウエスト」4号棟に入居。借り上げ期間の16年11月を過ぎたため、市から退去を求める訴訟を起こされた。明け渡しを命じた神戸地裁判決を大阪高裁が支持し、最高裁も19年3月、女性側の上告を棄却した。

 震災前から糖尿病や白内障を患い、13年に腰の骨折で歩行器が必要となった。14年までは市の継続入居要件を満たす「要介護3」に認定。バリアフリーの部屋で自力生活に努め、介護度が改善したことが結果的にあだとなった。

 女性は16年に胃がんが見つかり、17年には転倒してひざを骨折。訴訟では「この部屋でないと生きていけない」と訴えた。高裁判決は歩行器を使う女性に「配慮が必要」と指摘。一方で、転居を希望していれば市がバリアフリー住宅を準備していた▽市は退去の義務について必要な通知をしていた-などとして女性の主張を退けた。

 女性は明け渡し請求に応じていないため、別の市営住宅に申し込んだとしても入居資格はないと神戸市の担当者から言われた。県営や民間の住居を模索するが、暮らせる物件はまだ見つからない。

 女性側は昨年8月、強制執行をしないよう求める異議請求訴訟を神戸地裁に起こし「市が代替住宅を提供せず、退去を強制するのは公営住宅法違反だ」と主張。市側は請求棄却を求める。

 日増しに体調が悪化する中、女性は便せん3枚に思いをしたため、神戸市長に面会を求めた。

 「市長に御相談するしか、生きる道はない」

■継続入居要件自治体で差 健康リスク医師ら指摘

 借り上げ復興住宅を巡っては、20年が過ぎた後の継続入居要件の違いから、自治体ごとに入居者の明暗が分かれた。支援する医師らは「高齢者の意に沿わない転居は、転倒リスクの増大やコミュニティーからの孤立を招く。命を縮めかねない」と警告する。

 神戸市は継続入居要件の「85歳以上」「要介護3以上」「重度障害者」から外れた入居者に転居を求め、兵庫県西宮市は全世帯を転居対象とした。両市とも移転先の住宅に申し込めば転居を猶予する制度を設けている。

 一方で、宝塚、伊丹市は全世帯が住み続けられるようにした。兵庫県と尼崎市の入居要件は神戸市より柔軟に判断し、病状や介護の必要性などに応じて継続入居を認めている。

 神戸市は、借り上げ料と賃料との差額が1世帯当たり月約7万円(2018年度末の平均値)生じ、税金で穴埋めされていること、自力再建した人らとの公平性などを理由に、継続入居要件の見直しは考えていないとする。

【借り上げ復興住宅】兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、被災者向けに最多時で7千戸超を提供。2019年12月当初の時点で計約1600世帯が暮らす。20年間の借り上げ期間後、神戸市は12世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。一審で15世帯が退去を命じられ、1世帯は明け渡す内容で和解した。住民の大部分が控訴し係争中。多くの住宅で20年間の借り上げ期間が過ぎており、19年12月以降に期間満了を迎えるのは神戸市と県の計11団地で、約170世帯が暮らす。

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