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津田幸恵さんが使っていたボールペンを手にする父の伸一さん=加古川市内
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津田幸恵さんが使っていたボールペンを手にする父の伸一さん=加古川市内
津田幸恵さん(津田伸一さん提供)
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津田幸恵さん(津田伸一さん提供)
遺品の一つ。幸恵さんが制作に携わった、アニメ作品のキャラクターが着用する衣装=加古川市
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遺品の一つ。幸恵さんが制作に携わった、アニメ作品のキャラクターが着用する衣装=加古川市

 36人が死亡し33人が負傷した京都アニメーション放火殺人事件は、発生から18日で半年を迎えた。長女津田幸恵さん=当時(41)=を亡くした父伸一さん(69)=加古川市=が神戸新聞社の取材に応じ、殺人容疑に問われる男(41)について「幸せに暮らす権利、夢を追う権利、全てを奪った。そのことを自覚してほしい。それが償いの大前提」と静かに語った。娘を亡くした痛みは増し、遺品を見ると、胸の底から悲しみが次々に押し寄せてくるという。

 幸恵さんは入社から作品の仕上げとなる彩色や特殊効果を担ってきた。京都市内の自宅マンションには、携わった作品や好きな声優のグッズ、専門学校で使っていた教材などが残されていた。伸一さんが子どもの頃に買ってあげた人形もあった。「こんなもん、まだ置いてたんか」。思わず手が止まった。

 昨年末、ようやく遺品の整理にめどがついた。グッズは京都アニメーションのファンに譲り、使える日用品以外はほとんど処分。その中には火災現場から見つかり、肩ひもが焼け落ちたバッグもあった。事件を思い出したくないからだ。

 伸一さんは工場機械の電気制御システムの設計を手掛けてきた。あと3、4年は続けるつもりだったが、得意先をうかがうのに必要な車の運転が危うくなった。長い距離を運転していると、ふと幸恵さんのことがよぎるからだ。「悲しみが湧いてくる。気がそれて、いつか事故を起こしてしまう。もう運転はできない」

 これまで多くの報道機関から取材を受けた。青葉容疑者への思いを聞かれるたび「幸恵は戻ってこない。動機に興味はない」と答えてきた。「恨んでも何にもならないから」と語るが、口調と表情には憤りや悔しさがにじむ。

 男に意識が戻り、聴取を始めたと京都府警から連絡を受け、今後の裁判のことを想像した。検事や裁判官に「亡くなった人もそうだが、生きて苦しんでいる人にも目を向けてほしい」と思う。生き残った社員も体に深い傷を負い、心にトラウマを抱え、好きなアニメ作りに没頭する日常を奪われた。「負傷者が失ったものを、元に戻してあげないといけない。『けがをさせた』なんて簡単な言葉では済ませられない」。男にそのことを理解させてほしいと願う。

 胸に詰まった思いは文書にして検察に提出するつもりだ。(小森有喜、若林幹夫)

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