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「豊岡市のキャッチフーレズ『コウノトリも住めるまち』に加えて『アーティストも住めるまち』になれば」と話す田口幹也館長(左)と吉田雄一郎プログラムディレクター=豊岡市城崎町湯島
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「豊岡市のキャッチフーレズ『コウノトリも住めるまち』に加えて『アーティストも住めるまち』になれば」と話す田口幹也館長(左)と吉田雄一郎プログラムディレクター=豊岡市城崎町湯島
城崎大会議館を改修した城崎国際アートセンター=豊岡市城崎町湯島
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城崎大会議館を改修した城崎国際アートセンター=豊岡市城崎町湯島
柳揺れる城崎温泉街=豊岡市城崎町湯島
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柳揺れる城崎温泉街=豊岡市城崎町湯島

 もう一つの転身物語は、演劇やダンスなどの滞在制作の拠点として世界中から利用希望がある城崎国際アートセンター(KIAC)=兵庫県豊岡市城崎町湯島=だ。

 劇作家平田オリザ(57)が初めて同市を訪れた2010年、城崎温泉街の「城崎大会議館」を所有する兵庫県が市に移譲する話があった。維持するだけで年2千万円近い赤字が出る“お荷物”施設だ。

 市長の中貝宗治(65)の頭にふと、アイデアが浮かんだ。「日本中の劇団に貸したらどうだろうか」

 1990年代、コウノトリを題材にした演目を全国で上演した秋田県の劇団「わらび座」が中貝の自宅にも泊まり込み、制作する姿を見た。「舞台制作の途中経過や完成作品を見られることが観光客増につながるのでは」-。

 可能性を探ってほしい、と市民プラザ館長の岩崎孔二(64)に連絡した。同市を訪れた平田を、岩崎は城崎大会議館の前に連れて行き、アイデアを伝えた。全国で例のない活用方法。何より、大会議館を見た平田は「使い勝手が悪そうで、ダサい建物だなあ」と思った。

 「どうでしょう」と尋ねる岩崎の熱意をむげにしないように、表現を和らげて「温泉街はすごくいい町なので、相当頑張ればいけるかもしれない」と答えた。

 それを聞いた岩崎は、すぐさま中貝に「平田さんが『いける』と言っている」と伝えた。平田の気遣いによる“お墨付き”をもらった「KIAC構想」が走りだした。

 「ダサい建物」は14年、滞在制作の拠点とする「アーティスト・イン・レジデンス」施設としてオープン。初年度から世界中のアーティストの利用希望が集まった。この年は国が「地方創生」を掲げた年。市は地方創生の戦略拠点と位置付け、「文化芸術」による活性化を目指して市政のかじを切る。

 翌年、東京で広告企画などを手掛けてきた同市出身の田口幹也(50)が館長に就任した。田口は自身も振り返りながら「若者は『地方は保守的で新しいことにチャレンジできないから』と都市部へ出て行く。でも、小さくても世界から尊敬されるまちになれば、戻ってきてくれるだろう」と話す。

 KIACプログラムディレクターの吉田雄一郎(40)は「アートは社会の見方を変えてくれる」と意義を強調する。「『演劇のまち』といっても一つの価値観に縛られず、多様な考えを持てることが大切だと思う」

 19年度には20カ国68団体から応募があった。「キノサキ」の舞台は世界へとつながった。=文中敬称略=

(石川 翠)

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