神秘的な女性像で有名な、神戸洋画壇の重鎮、石阪春生(いしさか・はるお)さんが、昨年12月24日に肺がんのため死去していたことが分かった。90歳。神戸市兵庫区出身。葬儀・告別式は親族で執り行った。弔電、弔問は遺族の意向で辞退している。
神戸四中(現星陵高)、関西学院大に学び、叔父のモダニズム詩人竹中郁の紹介で、戦後の洋画界をリードした画家小磯良平に師事した。美術団体「新制作協会」を中心に活躍し、自らに内在する「永遠の女性像」を探求。中世ヨーロッパ風の世界に住む、憂愁を帯びた女性らを細密に描いた連作「女のいる風景」で、独自の幻想の世界を切り開いた。
神戸の情報誌「月刊神戸っ子」の表紙絵を長年手がけ、モダン都市・神戸を代表する画家として市民に親しまれた。1974年、第2回金山平三記念美術賞、83年に神戸市文化賞、98年に兵庫県文化賞を受けた。
2005年に自作50点を同市へ寄贈し、翌年、市小磯記念美術館で記念の展覧会が開かれた。