イカナゴのシンコ(稚魚)漁が29日、大阪湾と播磨灘で解禁された。明石市の林崎漁港で水揚げがゼロとなるなど、ここ3年続いた不漁の流れは変わらなかった。兵庫県漁業協同組合連合会によると、出漁を見合わせた西播地域を除く神戸、明石、淡路市の主要6漁港では、競りの平均落札額(浜値)が1籠(25キログラム)当たり約5万3千円に。約15年前の3倍超に当たり、品薄の影響から最高額は9万円近くに達した。
県漁連によると、6漁港のうち4漁港では、極端な不漁だった昨年よりは漁獲量が増えたものの、2年前は下回ったという。
「やっぱりあかんか」。垂水漁港(神戸市垂水区)に集まった鮮魚店や加工業者の仲買人らがうなだれた。この日未明から多くの船が沖合でシンコの群れを追ったが、水揚げされた籠は、大半の船が数個止まり。漁師らは「イカナゴがいる海域は狭く、場所も限られた。何日も取り続けたら、来年の親魚がいなくならないか」と不安を口にした。
シンコ漁は1日は日曜のため休みで、2日は西播を含む県内22漁協が予定する。不漁が続く見通しを受け、大阪湾、播磨灘の漁業者らが同日、それぞれ今季の漁期について話し合う。(山路 進、長沢伸一)