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ベッドになるグリーン車の「ファーストシート」
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 JR西日本は5月8日から京阪神と山陰・山陽を結ぶ新たな長距離特急「ウエストエクスプレス銀河」を投入します。9月までは週末を中心に京都・大阪-出雲市間を臨時の夜行として週2往復程度運行。快適さと値頃感を追求した列車は、地域活性化と新たな鉄道利用の掘り起こしが期待されています。(田中真治)

■近畿以外で運輸収入減 列車を観光資源に

 JR西の運輸収入は近年、新幹線が右肩上がり、近畿圏の在来線が堅調なのに対し、それ以外の在来線は1991年度の1867億円をピークにじりじりと減少し2018年度は1082億円。1千億円の大台を割り込みかねない状況です。

 旅客数にそれぞれ乗車した距離をかけ算した「輸送人キロ」でも、近畿以外の在来線は91年度の126億7400万人キロから18年度は82億4300万人キロまで落ち込んでいます。

 背景の一つに長期的な人口の減少があります。少子高齢化が急速に進み、地方から大都市圏への人口移動に拍車がかかっています。

 「銀河」のデビュー地となる鳥取、島根県も同様です。2000年から20年間の人口推移を見ると、鳥取は61万人から約6万人減、島根は76万人から約9万人減です。40年には鳥取47万人、島根56万人とさらに落ち込むとの予測です。

 「銀河」の走る伯備線(倉敷-伯耆大山)や山陰線(米子-出雲市)の1日当たりの区間別平均通過人員も、前者が1987年度6751人から2018年度5438人となり、後者も5年で600人以上減り18年度は6千人割れ寸前です。

 通勤や通学の定期客を収入の柱の一つとする鉄道にとって人口減は脅威。需要の縮小を「交流人口」増加で補おうと打ち出したのが、新たな長距離観光列車による沿線活性化です。

 観光客数の推移には明るさも見えます。島根県の統計によると観光客数は増加傾向で、13年以降は年3千万人台で推移しています。ただ、県外客の利用交通機関は、近畿では自家用車が3分の2を占め、鉄道は1割強しかありません。

 鉄道の旅に誘うには新たな価値が必要です。目的地に早く着くことよりも、移動時間を含めて観光資源化すること。JR西が17年に運行を開始した、山陰・山陽を巡る豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」は高倍率の抽選となる人気が続いています。JRグループと地元が共同で観光列車や体験型企画に取り組むなど“地ならし”も進められてきました。

■多様な席種、手頃な価格 「鉄道の旅」身近に

 「銀河」は「瑞風」よりも幅広い客層がターゲットです。JR西は「鉄道の旅をより身近にしてリピーターを増やしたい」としています。

 料金は普通車であれば通常の特急と同等で三ノ宮-出雲市は片道9550円、グリーン個室でも1万6260円です。二十数万円から100万円を超える「瑞風」に比べるとリーズナブルです。車両は新造せず国鉄時代の「117系」を改造。コストを抑え、“顔”は懐かしさを漂わせながらも、内外装は一新しました。

 コンセプトは多様性と快適性です。長時間の旅を自由なスタイルで楽しんでもらうため、いろんな座席が用意されています。

 例えば2号車は女性専用。指定席は視線が合わないよう左右の列で互い違いにし、大きな鏡や椅子のある更衣室を備えています。4号車は丸ごとフリースペースで乗客の交流の場に。停車駅では沿線地域と連携し、民俗芸能や特産品なども提供される予定です。3号車にはマットレスを敷いてくつろげる家族向け個室があり、6号車のグリーン個室は風景を楽しめるよう、大きな窓に合わせてソファベッドの位置などをレイアウト。指定席の前後間隔は新幹線のグリーン車より広くなっています。

 乗降地は自由ですし、走るコースも変わります。いかに多くの人を運ぶかよりも、選択肢の多さで多様な観光客を引きつけることが、地域の活性化につながる時代になっているのです。

■近鉄は「ひのとり」新造 「移動」に付加価値

 こうした潮流は鉄道業界に広がりつつあります。近畿日本鉄道は3月14日、大阪難波-近鉄名古屋間に新型特急「ひのとり」を投入します。コンセプトは「くつろぎのアップグレード」。新幹線の倍、約2時間という所要時間を強みに変える試みです。

 先頭のプレミアム車両は床面が高く、横3列の本革のシートは座席間隔130センチ。北陸新幹線などの最上級シート「グランクラス」に匹敵します。レギュラー車両の4列シートでも座席間隔は116センチ。いずれも後ろを気にせずリクライニングできる「バックシェル」型です。

 特別車両料金はプレミアム300~900円、レギュラー100~200円。初列車のプレミアム席はわずか1分で完売しました。

 名阪特急は、1990年をピークに輸送人員が約3割減と伸び悩んでいました。「ひのとり」で不死鳥のように復活するかが注目されます。

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