新型コロナウイルスの感染拡大が、兵庫県内の首長選にも影響している。4月5日の投開票まで1カ月を切った高砂市長選に立候補予定の新人2陣営は急きょ屋内の集会を当面中止にし、有権者との握手も自粛。街頭での演説やインターネットを使った発信の強化に戦略をシフトさせる。陣営スタッフらは「一人でも多く話を聞いてほしいけど、人を集めると批判されかねない」と戸惑う。
同市長選は、3期目の現職登幸人氏(69)が引退を表明し、元市議の北野誠一郎氏(58)と元高砂商工会議所副会頭の都倉達殊(たつよし)氏(60)が立候補を予定。2陣営とも既に事務所を設け、昨年12月から週末に集会を重ねるなど活動を本格化させてきた。
北野氏の陣営は、2月29日以降に予定していた集会計11回を中止に。スタッフは「中止を告知する意味でも選挙カーを走らせ、街頭演説を増やす」とする。「数が勝負」としていた握手も、北野氏からは求めないという。ただ、政府が不要不急の外出自粛を呼び掛けているため、街頭の人通りも少なく、今後はホームページで政策を紹介する動画の充実を検討する。
都倉氏は、25日までの演説会開催を見送った。地元の企業経営者ら約300人を集める予定だった5日の集会は26日に延期したが、陣営は「まだ知名度が低いので重要度は高い。開催したいが、状況が読めない」と困惑する。告示前は集会とあいさつ回りに注力する予定だったが、急きょ選挙カーを準備して街頭演説や駅立ちの回数を増やしている。
市選挙管理委員会は投票所や開票事務の準備を粛々と進めるが、感染拡大の行方に気をもむ。従事する職員用にマスクを用意する予定だが、選管事務局の担当者は「品薄で確保できるかどうか分からない」。投票の啓発も「多くの有権者に投票に行ってほしいが、状況が悪化していれば呼び掛けが難しい」と漏らす。
相生市長選は5月24日に投開票。今月2日に立候補を表明した現職谷口芳紀氏(70)も頭を悩ませる。6選を目指し、1日には後援会事務所も開設したが、出席者は後援会幹部ら約20人と限定的。谷口氏は「人を集めたり、決起大会を開いたりはしにくい」とこぼし、集会などの予定は白紙としている。(若林幹夫、伊藤大介)
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