神戸市と自衛隊兵庫地方協力本部はこのほど、自衛官や自衛官候補生の募集対象者情報を電子データで提供する覚書を交わした。市によると、4月1日時点で17歳と21歳の約3万人が対象で、氏名や生年月日、性別、住所を電子データで提供する。
これまでは自衛隊側が住民基本台帳から必要な情報を書き写していたが、昨年4月、防衛大臣や同本部から電子データの提供依頼があり、市内部の協議や検討を経て2月10日に覚書を締結した。
市個人情報保護条例は個人情報の外部提供を原則的に禁じているが、法令に規定がある場合などの例外を設けており、市は「防衛大臣は知事や市町村長に対し、必要な報告や資料の提出を求めることができる」とする自衛隊法施行令などが「法令の規定に該当する」としている。
一方、労働組合や憲法学者、弁護士らでつくる兵庫県憲法会議は反対声明を発表。「市民の情報を毎年一括して提供することは、個人情報の保護・管理の基本を逸脱している」「市長は市民の個人情報保護に最善を尽くす義務がある」などとして、提供の取りやめや覚書の破棄を求めている。
(長谷部崇)