新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、品薄状態にあるアルコール消毒液の代用品として、自治体庁舎や福祉施設の除菌に「酸性電解水」を活用する動きが広がっている。電解水は食品添加物として認められているため安全で、製造する兵庫県内の事業所には全国各地から問い合わせが寄せられている。
食塩水などを電気分解して作る酸性電解水は、カット野菜など食品の洗浄・除菌に利用される。新型コロナウイルスへの除菌効果は検証されていないが、大腸菌やサルモネラ菌のほか、インフルエンザウイルスやノロウイルスにも効くことから、にわかに注目を浴び始めた。
新型コロナウイルスの感染者が150人を超えた北海道では、岩見沢市が酸性電解水の生成装置を導入。市庁舎や市立病院の除菌に使っている。長野県東御市は、生成装置を製造する地元業者の協力を得て、住民に無料で配布している。
介護施設の衛生管理などを手掛ける兵庫県市川町の「アミューズ24」も生成装置を持ち、酸性電解水を製造している。県内初の感染者が確認された3月1日以降、問い合わせが連日10件以上あり、これまでに地元の町役場や姫路市の福祉施設、神戸市の大手予備校などから電解水を受注した。東京、広島、福岡などからも注文が入ったという。
学校の休校に合わせて休業していた兵庫県福崎町の学習塾「エフゼミ」では、同社からレンタルした専用の加湿器で電解水を噴霧し、ドアノブや机を常時除菌。保護者の理解も得て、16日に授業を再開した。代表の藤原正人さん(65)は「いつまでも休めない。できる限りの対策をして理解を得たかった」と話す。
同社環境衛生部の仕立達也さん(33)は「『消毒液が調達できない』という相談が増えている。火急の対策として電解水を生かしてもらえれば」としている。専用加湿器のレンタルと酸性電解水20リットルのセットで月額4900円(税別)。アミューズ24TEL0790・26・3009
(井上太郎)
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