兵庫県の井戸敏三知事は19日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、県民に対して20日から当面の間、不要不急の大阪や他地域との往来の自粛を要請した。県内や大阪で感染者が増えている状況を加味し、国の専門家から示された緊急対策案を踏まえた措置。ただ、通勤通学などは想定しておらず「必要な行動は取ってもらえばいい」と強調した。
井戸知事の発表に先立ち、大阪府の吉村洋文知事も19日、20日からの3連休について「大阪-兵庫間の不要不急の往来を控えてほしい」と要請。この要請について井戸知事は両府県で調整はなかったとし、足並みの乱れが際立った。
兵庫県内では19日までに93人の感染が確認され、4人が亡くなった。厚生労働省は16日までに、感染者の小規模集団「クラスター」の数が全国最多の3カ所あるとした。
これに対し井戸知事は、クラスターでの健康観察に触れ「(感染者が)急増しているのは事実だが、検査の継続で把握できている」と強調。「他に波及しておらず、封じ込め対策をしっかりやる」と述べた。
自粛要請に至った経緯については、18日に感染症の専門チームが訪れ、対策の検討項目が示されたという。それを参考に県の対策の一つとしてまとめ、以前から呼び掛けてきた不要不急の外出や会合に「往来を加えて具体に例示して(要請を)強めた」と説明した。
一方、吉村知事は記者団の取材に対し「兵庫県では爆発的な感染がいつ起きてもおかしくない。大阪も感染者が増えており、警戒しないといけない」と呼び掛けの理由を強調した。大阪府内では18日時点で117人の感染者が確認されている。
兵庫がやり玉に挙がったことに対し、井戸知事は「ウイルスは県境に従って活動を広げているわけではない。互いに協力しながら対応していくことだ」と述べた。
また、自粛の一環として、県立都市公園で花見期間中(20日~4月5日)は飲酒の禁止を要請。模擬店の出店は不可とした。(井関 徹)
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