今年4月から認可保育所に入るために利用を申し込んだものの、1次選考で落選した人は全国の政令市など62自治体でおよそ4人に1人に上ったことが20日、共同通信の調査で分かった。落選者数は約6万人で、昨年同時期に比べて内定状況が悪化した自治体は4割超。昨年10月に始まった幼児教育・保育の無償化による影響もあり、対象となる3~5歳児の申込者数が増えたのは27自治体に上ることも判明した。
政府は2020年度末までに「待機児童ゼロ」の目標を掲げている。期限が目前に迫る中、目標達成は極めて難しい実態が浮き彫りになった。
調査は20の政令市や東京23区に加え、昨年4月時点の待機児童数が100人以上の計71市区町に実施。67自治体が回答し、うち1次選考の申込者数と内定者数を明らかにした62自治体の回答を分析した。
申込者は計22万5454人、うち内定者は16万4884人で、申込者数から内定者を引いた落選者は6万570人だった。落選者が最多だったのは4662人の横浜市で、大阪市(4626人)、川崎市(3343人)が続いた。
申込者に占める落選者の割合(落選率)は自治体平均で27・5%。昨年(28・7%)より若干改善した一方、落選率が悪化した自治体は4割を超えた。
落選率が最も高かったのは宝塚市(44・5%)で、沖縄県南城市(41・3%)、尼崎市(40・8%)が続いた。
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落選率が1位となった宝塚市。市保育事業課の担当者は「3月末まで追加の内定を出しているので、アンケートはあくまで途中経過の数字」とする。その上で、落選率が高い理由を「宝塚市は少子化のペースが全国平均に比べて緩やかで、入所申し込みが増加傾向なのが現状。昨年整備される予定だった、2カ所の保育所の開所が工事の都合などで遅れたことも一因では」と分析する。
今後については「市が独自に運営費を補助している指定保育所制度を活用して待機児童の受け皿を維持しつつ、分園を検討するなど保育所の定員数を増やしていきたい」と話した。
3位だった尼崎市は落選率の高さについて、保育料無償化に加え、1次選考の段階では、JR尼崎駅周辺など利便性の高い駅前再開発地区の保育所に人気が集中する傾向が影響しているとみている。市は市内に新設する認可保育所の整備に一部補助を出す事業などを続けているが、同市の担当者は「厳しい状況が続いている。ハード面の整備がどこまで追いつけるか」と話す。(名倉あかり、大盛周平)









