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田靡新さん(左)との交流を通じて帰郷を果たした椎名麟三=1955年、姫路市打越、福乗寺
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田靡新さん(左)との交流を通じて帰郷を果たした椎名麟三=1955年、姫路市打越、福乗寺
「語る会」の解散に伴い、保存が困難になるとみられる椎名麟三旧居=姫路市書写
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「語る会」の解散に伴い、保存が困難になるとみられる椎名麟三旧居=姫路市書写

 兵庫県姫路市出身の作家椎名麟三(1911~73年)を顕彰する「椎名麟三を語る会」が、29日に姫路文学館(同市山野井町)で開く総会で解散の議決を行う。会員の高齢化などが主な理由。同会主催による椎名の命日「自由忌」もこの日で最後となり、同市書写に残る旧居の保存も断念するという。(平松正子)

 椎名は旧制姫路中学(現姫路西高)を中退後、職を転々とし、47年「深夜の酒宴」でデビュー。戦後派文学の代表作家として、「自由の彼方(かなた)で」「美しい女」などの名作を残した。

 没後の84年、親交のあった姫路出身の作家田靡(たなびき)新さん(87)=尼崎市=が中心となり、自由忌を始めた。93年には斉藤末弘・西南学院大名誉教授(83)を会長に迎え、「語る会」に発展。講演会や読書会、会誌の発行を通じ、椎名文学への理解を深めてきた。

 2009年には地域と協力して、書写の旧居前に文学碑を建立。椎名の遺族らとも交流し、姫路文学館に直筆原稿や創作ノート、蔵書などの寄贈を受けた。同館では3度の回顧展を開催。姫路を椎名研究の拠点として位置付けた。

 しかし11年、長く事務局長を務めた柴田光明さんが87歳で他界。会員の高齢化も進み、運営を担う人材が不足していた。約50人が在籍しているが、近年は自由忌への参加も半数に満たない状態に。会は27年の活動を通じ、一定の役割を終えたと判断した。

 書写の旧居も老朽化が激しく、会の熱意に配慮してきた土地所有者は、解体も含めて処分を検討中。田靡さんは「若い世代に引き継ぐことができず、力不足を感じているが、貴重な資料を姫路に残すことができた。来年は生誕110年、3年後は没後50年。椎名文学がさらに読み継がれればいい」と願う。

 29日に姫路文学館で開く総会は解散を決議した後、活動を記録した冊子の制作について話し合う。午後2時からの自由忌は一般参加もできる。田靡さん、同文学館の玉田克宏さんが、椎名文学や会の歩みについて話す。申し込みは不要。

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