無声映画にせりふや解説を付ける活動写真弁士(活弁)。その魅力を描いた映画「カツベン!」(周防正行監督)で、役柄などの指導をした弁士・坂本頼光(らいこう)(40)=東京都出身=が4月17日、神戸市兵庫区の神戸新開地・喜楽館で、自慢の話芸を披露する。かつて映画館が立ち並び活弁も盛んだった聖地で、懐かしの無声作品を上映する。(金井恒幸)
同日午後6時半からの夜席で予定している「喜楽館カツベン祭り」。坂本は「国士無双」「チャップリンの消防夫」、自作アニメなど5作品を解説する。落語家の桂あやめと桂三風も2作品で弁士を務める。
トークゲストとして、作家の玉岡かおるとシンガー・ソングライターのリピート山中も登場。かつて活弁として活躍し、4年前に97歳で他界した玉岡の父について語る。落語家など3人による「上方オハヤシオーケストラ」の音楽もムードを盛り上げる。
映画「カツベン!」は、まだ音声作品がなかった大正期が舞台で、成田凌演じる主人公が活弁になる夢を追いかける物語。1896(明治29)年に神戸・花隈にあった当時の「神港倶楽部」で初めて活弁が行われたとする説があり、神戸は発祥の地といわれる縁深い場所だ。
坂本は「発祥の地で連日演じることができるのは光栄。無声映画は活弁の語り、映像、音楽のライブで一体になる瞬間がたまらない。映画の原型ともいえるスタイルと現在の作品とを比較し、映画文化の新たな魅力を発見してもらえれば」と話す。
一般前売り3千円、当日3500円。茶臼山舞台TEL06・6775・9745