神戸空港を拠点に航空関連事業を展開するヒラタ学園(神戸市中央区)は、約10分で設置可能なヘリポート向け簡易照明を岐阜大学などと共同開発した。ドクターヘリなどの発着場に指定されているが照明設備がない広場などで使用することにより、物資輸送や人命救助で夜間もヘリコプターの離着陸が可能になる。国や自治体などを対象に販売を進める。(斎藤雅志)
同学園によると、兵庫県内にはドクターヘリなどが使う発着場が868カ所あるが、照明設備が整っているのは六つの病院のみ。それ以外では夜間の離着陸は行っていない。持ち運び用の照明もあるものの、既存商品は重くて運ぶのが難しい上に、照明と電源をケーブルでつなぐ必要があり設置に時間がかかるため、普及していないという。
そこで同学園は、岐阜大工学部機械工学科や同学科発のベンチャー企業と約1年間かけて試作。幅16センチ、厚さ3センチの六角形の発光ダイオード(LED)16個を、地面に設置して使う簡易照明セットを商品化した。
重さは一つ1・2キロと従来の約3分の1への軽量化に成功した。アルカリ乾電池3本で約8時間の使用が可能。リモート操作で点灯させる仕組みで、キャリーケースを使って1人で運搬、設置ができる。商品名は、形状の六角形を意味する「HEXAGON(ヘキサゴン)」とした。価格は130万円(税別)。
13セットを購入した和歌山県の災害対策課鷲岡一英課長補佐(49)は「大規模災害などに備えて導入を決めた。災害時に孤立する恐れがある山間部などに配備したい」と話す。
同学園では、自治体や省庁のほかヘリポートがある病院やゴルフ場などからの注文も見込んでおり、平田光弘副理事長(48)は「夜間も安全にヘリの離着陸ができることで、緊急時の救援活動の幅が広がる」としている。
同学園TEL078・304・5725