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C・W・ニコルさん(2018年撮影)
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C・W・ニコルさん(2018年撮影)
C・W・ニコルさん(2018年撮影)
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C・W・ニコルさん(2018年撮影)
里山再生の取り組みなどテーマに講演するC・W・ニコルさん=2018年10月、たつの市揖保川町、アクアホール
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里山再生の取り組みなどテーマに講演するC・W・ニコルさん=2018年10月、たつの市揖保川町、アクアホール

 環境保護活動家で、狩猟にも詳しい英国出身作家のC・W・ニコルさんが3日、直腸がんのため長野市の病院で亡くなりました。79歳でした。本紙では4月1~4日の地方版「広域播磨」で、生前行ったインタビュー「猟を語る」を3回に分けて掲載。神戸新聞NEXTでも紹介します。

     ◇     ◇

 人類の歴史は狩猟に始まった。農耕社会でも田畑を荒らす獣は全力で退治した。だが人は森を離れ、山村は過疎化し、野生動物が都市部に押し寄せる。この時代に、いかに自然と向き合うべきなのか。環境保護活動家で、狩猟にも詳しい作家のC・W・ニコルさんに話を聞いた。(聞き手・古根川淳也)

 -銃は何歳から?

 12歳から小さな散弾銃でウサギやハトを撃ちました。空気銃は10歳から。田舎に住んでいるなら、狩猟をするのは当たり前でした。17歳からは、北極探検でアザラシやトナカイの狩りをしました。自分と仲間を守るためにシロクマを撃ったこともあります。でもトロフィーハンティング(剥製などが目的の狩猟)は嫌いです。チーターを撃つとか、遊び感覚で命を奪うことは、軽蔑します。

 -日本での猟は

 僕が黒姫(長野県信濃町)に住み始めたのは1980年。その時、鉄砲の免許を取って猟友会に入った。当時はイノシシもシカも全くいなくて、獲物はウサギ、キジ、カモだった。ライフルを持ちたかったけど、まずは散弾銃を10年間持たないといけない。7年間経ったころ、海外ロケに行っている間に所持許可の書き換えが10日間遅れた。それで一からやり直しとなったのでやめた。

 銃が厳しいのは当たり前だけど、日本はハンターを育てないといけない。私はわなは大嫌い。ものすごく嫌いです。アフリカの国立公園長をしていた時、わなを使う人たちを逮捕していたから。わなは密猟者の道具。動物に恐怖と苦しみを与えてはいけない。大半の国でわなは違反です。特にワイヤロープ(くくりわな)。あれは無差別です。シカ以外の生き物もかかってしまう。でも政府はわなを勧める。それは日本の恥です。

 -北極での猟は

 僕は17歳からイヌイット(カナダなどの先住民)と一緒に暮らした。彼らはアザラシやイルカを取る。ある会議で国際的な自然保護団体が「動物を殺すのは最低だ」と発言した。その時イヌイットのリーダーが「確かに動物の命を取るのはかわいそう。でもあなた方は牛や豚を殺すために飼っている。われわれが取る動物は死ぬ一瞬まで自由に生きている。かわいそうと言うなら、あなた方は家畜を全部自由にしてください」と。

 ハンターの誇りはすごく奥深い。大切なのは勇敢だけじゃなく、1発の弾で即死させられる腕がないとだめ。バックショット(大型獣用の散弾)はとんでもない。1発に弾が9個入っていて、どこに当たるか分からない。イヌイットは絶対に使わない。それから上手に解体し、自分で料理するか、料理できる人に渡さないとだめ。

 -狩猟はどうあるべき

 一つは絶滅させないこと。科学的に調査して何頭取るべきかを決める。二つ目は痛みを与えないよう一瞬で命を奪う。そうでないと動物虐待になる。最後に無駄にしない。日本は、年間60万頭取ったシカの91%を捨てている。本当に恥ずかしい。英国・ウェールズには、アファンの森(長野県)の姉妹森があり、そこでは自然保護官が猟期になると300頭を取り、肉を売る。すべて国立公園のお金になる。捨てることはない。

 自然保護のために狩猟は絶対に必要です。シカの数を管理しないと森の生態が変わる。珍しい植物がなくなる。シカが食べないものだけが増える。そして草木を食べ尽くすとシカが餓死する。シカのためでもある。

 -野生動物を狩る意味は

 野生動物を生かすこと。つまり、その自然を守るのが本当のハンターの仕事です。自然界でもオオカミはちょっと弱いシカを狙う。すると自然淘汰され、種が進化していく。英国では、撃っていいシカといけないシカをストーカー(管理人)が指示する。撃っていいのは、角が曲がっていてメスを巡る争いで相手を傷つけるとか、問題があるシカだけ。

 -好きな猟は

 一人でする忍び猟。トラッキング(足跡)を見て、風を考えて、動物がこちらに気付かない時に撃つ。

 -猟の面白さはどこに

 取れた、当たった、でも死んだ動物を見ると深い悲しみがある。どうしても涙が出る。ごめんね、と。でも魂が出たから、もう肉です。イヌイットから学んだんですが、必ずお祈りをしています。動物を殺すのはちっとも楽しくない。でも当たった、取れたというハンターの喜びがある。

 昔のハンターは命のやりとりをしていた。いつ自分が死んでもおかしくない。だから自然に対する畏敬とか、ある意味の験担ぎが生まれた。イヌイットにきつく教えられたのは「おなかいっぱいで猟に行くな」。それは相手の命に対して失礼だ。「おなかがすいているからあなたの肉を下さい」でないといけない。生き物を畏れ敬って「神様、次も自分に獲物を下さい」という宗教心とか哲学とか、命を軽んじない精神とかがある。今は全くそういうものがなく、一方的に命を取っている。

 -クマを撃ったことは

 シロクマを3頭取った。北極の真冬で、暗くて、小屋に入ろうとしたら突然向かってきた。最初は5メートルの距離で仕留めた。2回目は8メートルで立ち上がり、1発撃って当たったけど向かってきて、あと2発。2メートルで仕留めた。全部心臓に入っていたけど、すぐは死なない。クマは撃ちたくないが、人間をエサだと思っているから仕方ない。

 -撃った時の心境は

 時間が止まった。逃げたらやられる。後ろに仲間がいたから、僕だけじゃなく仲間もやられる。怖くはなかった。怖さを通り越していた。そのあと一人で解体して、コーヒーを飲みに行ったらカップを持つ手がブルブル震えて止まらなかった。

 -クマはどんな存在ですか

 山の親せき。殺したくない。でも生きているクマは大事にするけど、死んだクマの肉は抵抗なしにいただきます。大きな矛盾です。大事なお客にはシカかイノシシを出します。本当に大事な、特別な客にはクマを出します。

(インタビューは2018年、兵庫県たつの市内で)

【C・W・ニコル】1940年、英国・南ウェールズ生まれ。カナダ水産調査局北極生物研究所の技官やエチオピアの国立公園長などを経て、80年から長野県在住。荒れた里山を購入して「アファンの森」と名付け、再生活動に取り組んでいる。

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