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取材に応じる仁恵病院の医師。感染確認からの過酷な1カ月を振り返った=姫路市内(撮影・小林良多)
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取材に応じる仁恵病院の医師。感染確認からの過酷な1カ月を振り返った=姫路市内(撮影・小林良多)
看護師や入院患者ら14人の感染が確認された仁恵病院=姫路市野里(撮影・小林良多)
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看護師や入院患者ら14人の感染が確認された仁恵病院=姫路市野里(撮影・小林良多)
医師のメモには感染者の転院が難航したことが記されていた=姫路市内(画像の一部を加工しています)(撮影・小林良多)
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医師のメモには感染者の転院が難航したことが記されていた=姫路市内(画像の一部を加工しています)(撮影・小林良多)

 新型コロナウイルスの感染が広がった精神科病院「仁恵病院」(兵庫県姫路市野里)で最初の感染が確認されてから間もなく1カ月となるのを前に、中島宣行理事長(70)と神立禮次院長(64)ら医師3人が神戸新聞社の取材に応じた。感染した患者に24時間態勢で寄り添い、院内での拡大も防ぐ-。病院スタッフは、医療従事者としての使命を果たすため総力を挙げた。家族にうつすことがないよう、自宅に戻っても車中泊を続けた看護師もいた。

 仁恵病院で最初の感染が明らかになったのは3月7日。看護師で、兵庫県内では初の医療従事者だった。同病院の関係ではこれまでに計14人の陽性が判明し、うち2人が亡くなった。

 病棟に元々入院していた患者約50人の中では11人が感染した。しかし精神疾患が理由で、重症者らを除き、感染症指定医療機関への転院は難航した。院長らによると、感染した患者は隔離した別のフロアに移し、担当する看護師を固定。防護服にゴーグル、手袋を着け、24時間態勢で食事や排せつなどの介助に当たった。

 ある看護師は感染者の担当を自ら引き受けた。勤務後も子どもらとの接触を避け、駐車場に止めた車で寝泊まりした看護師もいた。

 「感染するかもしれない距離で、懸命に患者と向き合う看護師がいる。その現実だけでも知ってほしい」。50代の男性医師がおえつを漏らした。訴えの裏には院外での想像を絶する困難もあった。

    ◇   ◇

 「『これからどうなるんだろう』と、頭が真っ白になった」-。病院スタッフらを苦しめたのは、新型コロナの猛威に加え、未知の感染症があぶり出したともいえる社会の差別や分断だった。

 看護師の感染が確認された翌日の3月8日朝、神立院長は姫路市役所で、清元秀泰市長の緊急会見に同席した。あえて病院名の公表に踏み切ったのは、無用な臆測や誤った情報が広がるのを防ぐためだった。

 同じ頃、病院では呼び出しを受けたスタッフが、以前から入院していた患者の体調確認に追われていた。患者の中には、マスクを着けてもすぐに外したり、目につく物に触りたがったりする人がいる。スタッフは根気強く病室を消毒し、その後も、増え続ける感染者への対応や、難航する感染症指定医療機関への転院調整などに追われた。中島理事長が強調する。

 「患者の命を守るのは、医療従事者として当たり前のこと。それでも、使命を尽くすスタッフの姿を見ると、言葉が出なかった」

 過酷な環境は院内だけではなかった。患者や医療スタッフ、その家族らへの風評被害が日増しに激しくなっていった。

 子育て中の病院スタッフは、預け先の保育所から「休ませてくれますか」と言われた。市保健所に本当に休ませる必要があるのかどうかを確認した上で、再度問い合わせると、保育所は渋々「受け入れる」と改めた。

 また40代の女性医師によると、通院患者の一人は別のクリニックを訪れた際、受付で追い立てられ、消毒液を吹きかけられた。提出した「お薬手帳」に「仁恵病院」の文字があったためとみられる。

 病院、勤務先、介護施設、保育施設…。日常のさまざまな場で偏見にさらされた。「元々あった障害者らに対する差別が、新型コロナによって先鋭化したように感じる」。神立院長はそう憤る。

 仁恵病院での感染確認が途絶えて5日で2週間。ウイルスの潜伏期間も最長2週間とされ、その上限に達した。中島理事長は「感染症で患者さんが亡くなり、本当につらい。今後への不安も大きいが、頑張ってくれているスタッフと共に、外来診療の再開に向け一歩一歩進んでいきたい」と院内感染の早期終息へ強い決意を示した。(小川 晶)

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