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「流行性感冒」の予防接種を受ける市民。当時、スペイン風邪のワクチンは開発されていない。磯貝教授は「効果はなかったのでは」と推測する
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「流行性感冒」の予防接種を受ける市民。当時、スペイン風邪のワクチンは開発されていない。磯貝教授は「効果はなかったのでは」と推測する
1918年11月6日付紙面。続出する死者の火葬が追い付いていないことを伝えている
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1918年11月6日付紙面。続出する死者の火葬が追い付いていないことを伝えている
紙面に掲載された当時の内務省が作成した啓発チラシ。「手当が早ければすぐ治る」と書かれている
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紙面に掲載された当時の内務省が作成した啓発チラシ。「手当が早ければすぐ治る」と書かれている

 約100年前、世界中で猛威をふるった感染症があった。スペイン風邪だ。日本でも30万人以上が死亡したとされ、当時の神戸新聞によると、兵庫県内でも感染が爆発的に拡大した。学校が閉じられたり、マスクの値段が高騰したりするなど、新型コロナウイルスの感染が広がる現代と通じる場面もうかがえる。緊急事態宣言による外出自粛が始まったが、専門家は「当時も行動が徹底できずまん延を許してしまった。歴史の教訓から学ぶべき」と警鐘を鳴らしている。(杉山雅崇)

 当時の神戸新聞では、1918(大正7)年10月ごろからスペイン風邪を「戦地に流行する感冒」「悪性感冒」などと表現した記事が頻出し始める。

 同月30日付紙面では、「悪性感冒患者 県下約1万3千人」と題して感染者の爆発的な増加を速報。この後も、学校や工場の閉鎖などを伝える記事が連日のように掲載され、「風邪薬が各地で売り切れた」「マスクの値段が悪徳業者によって上がっている」などと報じている。

 混乱を伝える紙面は続く。同年11月6日付紙面の見出しは「累々遺骸の山 累々棺桶野ざらし」。死者が相次ぎ、神戸市内2カ所の火葬場がパンク状態になったとする内容だ。

 こうした惨状の一方で、18年にあった第1次世界大戦の終結記念式典が神戸市内で開かれ、神社の縁日がいつも通りにぎわう様子も掲載されている。感染拡大防止の取り組みが徹底されていなかったことが紙面から分かる。

 感染症の歴史に詳しい東北大の磯貝恵美子名誉教授(細菌学)は「当時も学校や職場の閉鎖などが全国で相次いでいた一方、満員電車や都市の人混みは放置されたままだった。現在もそのダブルスタンダードは同じだ」と分析する。

 その上で、「今回、緊急事態宣言が出されたが法的な強制力は限定的だ。流行するに任せ、大きな悲劇を生んだ当時を教訓に、一人一人が防疫への意識を高めなくてはいけない」と語っている。

【スペイン風邪】1918~20年ごろに世界中で流行したインフルエンザのパンデミック(世界的大流行)。一説では世界人口の約3分の1が感染したとされ、2千万~4千万人が死亡したとされる。当時日本では「流行性感冒」「悪性感冒」などと表現され、30万人以上が死亡した。神戸市内でも7千人以上が亡くなったとされる。

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