就職活動中の大学生らが、“コロナショック”の影響で苦戦を強いられている。新型コロナウイルスの感染拡大で、企業説明会が軒並み中止になっただけでなく、業績悪化で採用を取りやめる会社も出てきた。7日に発令された政府の「緊急事態宣言」でアルバイト先が休業となり、生活に困窮する学生も。「『売り手市場』だったはずなのに…」。悲痛な叫びが相次ぐ。(末永陽子、中村有沙)
「まさか、自分の就活がこんな大変になるなんて」
神戸女学院大(兵庫県西宮市)4年生の女性(21)は嘆息する。1月から就職活動を始めたが、新型コロナウイルスの感染拡大で3月から説明会中止が続いた。
3月下旬には、エントリーシートを出した地方のテレビ局から、採用活動を延期する知らせが届いた。その後、書類選考の結果通知も大幅に遅れた。採用の見合わせや日程未定の延期は12社に上り、「どの企業がいつ採用を取り消すか、怖い」と不安を隠せない。
同大4年生の女性(21)も「就活の予定が立てられない」とこぼす。説明会の中止で、人事担当者から企業情報を直接聞ける機会が減少。WEB上の説明会では個別の質問になかなか答えてもらえず、企業をよく知らないまま、エントリーする状態が続く。
神戸市の別の大学生(21)はエントリーが通過した30社のうち、20社が選考中止に。最終選考直前に中止する企業も増えたという。
大きな痛手となっているのは、就活だけではない。
京都市に住む4年生の女性(21)は「就活も大学も金銭面もままならない。“三重苦”です」と憤る。
バイト先は個人経営の居酒屋。2月まで週4回働いていたが、観光客の激減で3月は月1回に。同じようにサービス業で働き、1人暮らしをする友人も多く、「明日の生活もどうなるか」。
2回生からインターンシップに取り組んできたが、いざ就活が始まると、選考中の採用中止が相次いだ。大学も4月下旬まで休学が続く。「国は働く人だけでなく、学生が抱える問題にも目を向けて」と訴える。
一方、コロナ禍は幅広い業種に逆風となっている。
民間調査会社の帝国データバンクによると、3月時点で、業績への『マイナスの影響がある』とみた企業は80・3%を占めた。
兵庫県内にあるメーカーの人事担当者は「現時点で採用人数は見直さない方針」としながらも、「ここ数年続いていた人手不足から状況が急転した。業績によっては変更もありうる」と明かした。
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