兵庫県の井戸敏三知事は17日、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言に伴い休業要請した業種を対象に、要請に応じた県内の中小企業に100万円、個人事業主に50万円の支援金を給付すると正式発表した。休業ではなく営業時間の短縮を求めている飲食店などには、中小企業の場合は30万円、個人事業主には15万円を給付する。飲食店などを中心に県内約2万9千の事業所が対象になると見込んでおり、5月中の給付を目指す。
休業要請に応じた事業者への支援金は、大阪府と同額。大阪府が最大100万円の支援金を発表した15日の時点では、井戸知事は財政力の差から「(大阪府と)同じ水準では対応はできない」としていたが一転、足並みをそろえた。その理由を、井戸知事は「(隣接する)エリア全体の対策として、水準を合わせることが望ましいため踏み切った」と述べた。
県の支援金の対象は、休業要請に応じ、4月の売り上げが前年同月比で50%以上減った事業者。国が中堅・中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支払う「持続化給付金」と同様に、売り上げの半減を条件とした。
営業時間短縮の求めに応じた飲食店などは、休業要請に応じた事業者に比べ、支援金が約3分の1となる。宴会場などの利用を自粛している旅館・ホテルにも、飲食店と同額を給付する。
財源には、国が自治体向けに創設する臨時交付金を活用し、県内市町にも負担を求める方針。県が3分の2、市町が3分の1を支出することを想定している。全体の予算規模は約90億円を見込む。近くまとめる補正予算案に盛り込み、24日に開かれる臨時の県議会本会議に提出する。
県は新型コロナ特措法に基づき、遊興施設や劇場などに4月15日から5月6日までの休業を要請している。
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「不公平感というのを何とかしたので、休業要請への協力をお願いしたい」。大阪府と同水準の休業支援を発表した兵庫県の井戸敏三知事は、感染拡大が止まらない県内の現状も念頭に危機感をにじませた。
大阪の吉村洋文知事が15日、中小企業に100万円を給付することを発表すると、財政力の差に触れて「同じ水準ではできない」とすぐさま反応。両府県で統一的な対応が取れなかったことを明かし、吉村知事の「政治決断」に追随しない姿勢を示していた。
だが、その後の2日間で対応は一転した。県議から給付額の統一について要望があったほか、財源を補うため市町に一部負担してもらう協力にもめどが付いた。「大阪に付いて行かざるを得ないと覚悟した」(井戸知事)。
ただ、懸念はある。「特定警戒都道府県」に指定された13都道府県でも休業要請の実施や経済支援に差が生じている。兵庫、大阪に続き、京都府も新たに対象地域に加わった。
休業支援について、井戸知事は「京都もそこまでできるかは一つの課題」と指摘。「本来なら国が仕掛けをつくり、それに合わせるのが順序。今回は逆になっている」と国の対応を批判した。(井関 徹)
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