• 印刷
駐車場に設けたテント内で診察する医師ら=西脇市下戸田、市立西脇病院(撮影・大山伸一郎)
拡大
駐車場に設けたテント内で診察する医師ら=西脇市下戸田、市立西脇病院(撮影・大山伸一郎)
発熱外来のキャンピングカー内で診察の準備をする看護師=神戸市垂水区学が丘4、井口小児科・内科医院(撮影・鈴木雅之)
拡大
発熱外来のキャンピングカー内で診察の準備をする看護師=神戸市垂水区学が丘4、井口小児科・内科医院(撮影・鈴木雅之)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、発熱などの症状があり感染が疑われる人と、一般患者を分けて診察するための「発熱外来」を設ける動きが、地域の医療機関で徐々に出てきている。発熱患者をキャンピングカーやテントなどで隔離して診察し、院内感染を防ぐとともに、他病院で診療を拒否された人の受け皿の役割も担う。院内感染により外来・救急診療が制限される拠点病院が相次ぐ中、関係者は「地域医療を守る取り組みを続けたい」とする。(金 旻革)

 神戸市垂水区の診療所「井口小児科・内科医院」は3月上旬から、敷地内の駐車場にキャンピングカーを止め、“仮設診察室”として活用。事前予約や市保健所の仲介を通じて、3日以上の発熱や呼吸苦など、新型コロナ感染が疑われる症状の患者を受け入れている。医師はマスクやフェースシールド、ガウンなどを身に着けて診察に臨む。

 「病院はどこも感染のリスクが高いという印象が広がっていたので、患者に安心感を与えたかった」。井口優子院長(66)は導入の経緯をそう語る。新型コロナ感染を疑い、発熱した患者を受け入れない医療機関が少なくないことも背景にあるという。

 4月中旬に診察を受けた同市垂水区の男性会社員(39)は、強い息苦しさを覚えて近所の病院を訪ねたが、医師から問診の段階で「新型コロナです。保健所に連絡するから他の病院を当たってください」と告げられた。市保健所の「帰国者・接触者相談センター」経由で受け入れ先を探してもらったがなかなか見つからず、同医院にたどり着くまで2時間ほど不安な時を過ごした。

 PCR検査の結果は陰性で、症状はマイコプラズマ肺炎に起因すると分かった。男性は「一時は途方に暮れたが、受け入れてもらえてほっとした」。同医院ではこれまで15人程度を発熱外来で診察し、約10人をPCR検査に回したが、全て陰性だったという。

 兵庫県内では、西脇市の市立西脇病院も3月下旬から、駐車場に設営したテントで発熱トリアージ外来を開始。他の医療機関や県健康福祉事務所から紹介のあった発熱患者に対し、医師や看護師がPCR検査の必要性などをトリアージ(選別)している。加西市の市立加西病院は救急外来に診療室を設け、一般の来院者と動線を分けているという。

 井口院長は「新型コロナの感染拡大で感染症指定病院など大きな医療機関の負担は増えており、任せきりではいずれパンクしてしまう。求められる医療を提供するために手を尽くしたい」と話している。

【記事特集】新型コロナウイルス

 

天気(9月6日)

  • 34℃
  • ---℃
  • 0%

  • 35℃
  • ---℃
  • 0%

  • 35℃
  • ---℃
  • 0%

  • 37℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ