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「感染者が批判されるような社会でいいのかと考えてほしい」と話す村山綾准教授=大阪府東大阪市、近畿大
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「感染者が批判されるような社会でいいのかと考えてほしい」と話す村山綾准教授=大阪府東大阪市、近畿大

 先の見えない不安からか、新型コロナウイルスに感染した人へのバッシングがやまない。クラスター(感染者集団)が発生した大学に対し、無関係な学生や教職員が差別的な言動を受けるケースも頻発していると報じられた。行動によるリスクの程度こそあれ、この感染症は誰もがかかる可能性がある。にもかかわらず、感染者を責める風潮はなぜ?(竹内 章)

 被害者を責める心理に詳しい近畿大准教授の村山綾さん(社会心理学)によると、「感染症は怖い」と無意識のうちに考えてしまうのは、人間の行動免疫システムが関係するとみられる。発熱やせきなどの生物学的免疫システムと違い、病気の兆候を示した人を避けようとしたり、嫌悪感を抱いたりするのはこの現れという。

 クラスターが生じた大学では、その後の検査で陽性と判明した学生が、欧州旅行から帰国後に参加した卒業祝賀会などで広がったとされる。大学には多数の電話やメールが寄せられ、脅迫的な内容もあった。

 村山さんは「外出を自粛するなど我慢の程度が強い人ほど、自粛していないとみなした感染者を非難する可能性がある」と話す。人間は自分の判断や行動が多くの人と共通していると思い込みすぎる傾向がある。「私は予防・自粛を頑張っているのに、この人たちは」といった感染者への非難が今後、「感染した人は自業自得。私は関係ない」という排他的な考えに転じる恐れがあるという。

 こうした非難が繰り返されると「症状があっても伏せておこう」「全ての行動履歴を明かさないようにしよう」と判断する人が出てくることも考えられ、結果的に適切な治療を受けられず、経路を追えないなど、感染拡大防止を妨げる恐れすらある。

 非難に加わらないためには「自分も感染者になるかもしれない」と強く認識することが重要だという。「自身を無症状の感染者として『周囲にうつすかもしれない』と考えることで行動は変わっていくはずだ」

 Jリーグで初めて新型コロナ感染が確認されたJ1神戸の元日本代表DF酒井高徳選手は、ツイッターで経過を説明。「不安になる気持ちは誰にでもあるので、共有して少しでも伝えられたらと思った」と投稿し、5万超の「いいね」が寄せられた。村山さんは「感染後に回復した人の声がもたらす安心感は大きい。多様な人にこうした情報を発信してもらう上で、責める風潮は不利益でしかない」と話した。

■不安、偏見も一種の感染症 日本赤十字社が啓発冊子

 日本赤十字社(東京)は過剰な不安や感染者らへの偏見、差別に対して、それらも一種の感染症と位置づけ、啓発リーフレットをホームページで公開している。

 新型コロナウイルスは病気そのものだけでなく、不安と恐れ、嫌悪・偏見・差別という三つの感染症をもたらし、それらがつながっていると説明。未知であることが不安を呼び、感染者や医療関係者への偏見・差別を生むと指摘している。

 負の連鎖を断ち切るには、不確かな情報に振り回されない▽いつもの生活習慣やペースを保つ▽安心できる相手とつながる-などを列挙。医療従事者や自宅待機をしている人ら、事態に対応している全ての人に敬意を持つことが重要としている。

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