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「コロナ禍は災害法制で対応を」とする緊急提言書をまとめた津久井進弁護士=西宮市内
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「コロナ禍は災害法制で対応を」とする緊急提言書をまとめた津久井進弁護士=西宮市内
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 「コロナ禍は『災害』です」。阪神・淡路大震災を機に災害復興法制の充実に取り組んできた兵庫の弁護士からの投げ掛けが、瞬く間に共感を呼んでいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で困っている人を素早く手厚く救うため、災害や復興関連の法制度を適用すれば道が開ける-という主張だ。ロックダウン(都市封鎖)も可能という。わずか数日で全国の弁護士ら120人以上が賛同し、政府や主要政党への緊急提言につながった。(小林伸哉)

 「ガマンならぬゆえ長文お許しください」。13日、日弁連災害復興支援委員長を務める津久井進弁護士(50)=兵庫県弁護士会=が、フェイスブック(FB)で切り出した。

 政府による緊急事態宣言では、法的にひも付けされる具体的な支援策はほぼなく、感染防止のために市民に対して指示できることもほとんどない-。宣言の根拠である新型コロナ特措法は課題や限界が目立ち、政治家らのメッセージは「精神論ばかり」。過去の災害のように、困窮や心身の不調で関連死が多発しかねないと危機感を抱く。「災害で培ってきた仕組みやノウハウをフル活用すべき」

 阪神・淡路以降、被災者支援などに尽力してきた経験から現状に憤る。新型コロナの影響で売り上げが減った東京のタクシー会社が運転手約600人を解雇-との報道に衝撃を受けた。

 激甚災害法に基づく指定地域内の特例を適用すれば、休業している会社の従業員は雇用保険から手当を受けられる。「会社を辞めなくても、失業保険がもらえる。激甚災害ではいつもやっている」。東日本大震災や昨年の台風19号でも同様の対応が取られた。

 与党などの一部から緊急事態条項創設などの憲法改正を求める声が上がることについても、津久井さんは「具体的に生活と密着したメッセージが大事。既存の災害対応法制なら、早く機動的に動ける。目的がはっきりしており、国が必要のない私権制限にまで踏み出すこともない」とする。

 FB投稿後すぐ、東日本大震災で被災者を支援してきた勝田亮弁護士(51)=仙台弁護士会=が反応した。「重い借金に苦しむ人が多い東日本大震災後と重なって見える。先手を打ちたい」。正式に首相や閣僚、主要政党などに提言書を出すよう津久井さんに打診。緊急提言をまとめて賛同者を募り、16日に発送した。

 津久井さんは「使える制度はいくらでもある」とする。在宅避難を指示できる災害対策基本法を使えば、自宅待機を義務付けられる上、指定した警戒地域への立ち入りを制限・禁止し、退去を命じられる。自粛の「要請」ではなく、強制力を伴う措置も打ち出せる。

 災害救助法を応用すれば、食料品・飲料水・生活必需品の提供▽生業に必要な資金などの給与や貸与▽避難所の供与としてのホテル宿泊-も可能になる。金銭を貸し出す「災害援護資金」や、遺族に支給する「災害弔慰金」なども有効な支援になり得るとする。

 医療関係者からも評価の声が上がる。兵庫県災害医療センターの中山伸一センター長は「医療で需要と供給がアンバランスな状態となる『災害』が既に起きている。今後、経済的問題や医療体制の逼迫(ひっぱく)により、他の病気などによる死者が増える恐れがある」と指摘。「長丁場を見据え、行政は災害に備えた制度や資源を柔軟に使うべき」と話す。

 津久井さんらは会員制交流サイト(SNS)などで「災害対策基本法等で住民の生命と生活を守る緊急提言」の拡散を呼び掛けている。事務局(アネスティ法律事務所)TEL022・714・6153

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