新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で過ごす時間が増えたことに伴って、兵庫県でも虐待や家庭内トラブルに関する相談や通報が寄せられている。県内のこども家庭センター(児童相談所)に加え、110番通報するケースもあり、関係者は「この状況が長期化すると件数が増えていくのでは」と警戒する。(堀内達成)
「重度の自閉症傾向がある小学生の体にあざがある」。3月末、駆け付けた同センターの職員が、児童を一時保護した。調べてみると、母親は、新型コロナの影響で仕事が減り、自宅で子どもと一緒に過ごす機会が増えてストレスがたまっていた。それで、わが子に矛先が向いたという。
休校措置が取られた3月は、5カ所ある県所管のこども家庭センターに四百数十件の相談があった。前年から増加傾向にはないが、「みんなが我慢している。決して落ち着いた状態ではない」と、担当者は推測。「もともと不安定な家庭だと、外出自粛が破綻の引き金になる」とみる。
一方、兵庫県警が関わるケースもある。人身安全課によると3月下旬には、外出自粛が求められる中、アルバイトに出掛けようとして父親に責められた娘から「けんかになった」と、110番通報があった。
同じ時期に「お父さんとお母さんが言い争いをしている」という子どもからの通報も。母親に話を聞くと「旦那は在宅勤務で、子どもは休校。ずっと家にいるので、ストレスがたまった」といい、手洗いなどを巡って口論になったという。
同課によると、緊急事態宣言発令前の6日までに、新型コロナを巡る相談は10件弱あった。事件に発展することはなかったが、担当者は、今後「深刻なケースが発生するかもしれない」と警戒を緩めない。
また、神戸市配偶者暴力相談支援センターには「娘が関東から実家のある神戸に逃げたいが、新型コロナ感染対策で移動自粛が求められており、帰りづらい」という親からの相談も。また、同市の窓口には新型コロナが原因で派遣の職を失ったシングルマザーらが相談に訪れているという。









