新型コロナウイルスの軽症者を受け入れる宿泊施設で勤務する看護師を確保するため、兵庫県と神戸市が県内の看護系大学に、看護師資格を持つ教員の派遣を要請していることが県などへの取材で分かった。希望者が自ら応募する形だが、こうした教育機関への要請は、大規模な自然災害を除くと異例で、感染拡大による看護師不足が浮き彫りとなっている。(杉山雅崇)
県や神戸市は、新型コロナの重症者のための病床を確保するため、医師が軽症と判断した人を、医療機関から神戸や姫路の宿泊施設に移している。各宿泊施設には医師が定期的に訪問したり常駐したりするほか、看護師も複数勤務。PCR検査の補助や軽症者の健康観察などを担う。
県は4月中旬、県内の看護系大学でつくる「兵庫県看護系大学協議会」を通じて15の大学に、軽症者向け宿泊施設への教員派遣を依頼。それ以前から教員を対象に、新型コロナ対応のコールセンター要員は募っていたが、募集業務を拡大した形だ。防護服などは県が準備し、時給2千円を支払う。神戸市も4月上旬、市内の大学に同様の要請をした。
県の担当者は「各病院は、宿泊施設にまで看護師を派遣できる状況にない。災害並みの状況に対応するため、募集に踏み切った」と説明。各大学には看護師資格を持つ教員がそれぞれ数十人おり、現在までに20人前後の応募があるというが、勤務時間の希望などを踏まえると「順調ではない」とする。
現場の反応はさまざまだ。ある大学職員は「コールセンター業務と違い、感染リスクが高い。どれくらいの教員が応じるか…」。別の教員は「大学は基本的に休校中なので、医療現場にいる教え子たちの力になるために応募する」と話す。
兵庫県は、普段は看護師の復職を支援している「県ナースセンター」を通じても、宿泊施設で勤務する要員を募っている。
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