緊急事態宣言への対応が8日、兵庫県内でも始まった。いつもはにぎやかな神戸・阪神間の繁華街は人影が減り、外出の自粛で利用客が減るとみられる娯楽施設やスポーツ施設は、営業の継続を巡って判断が割れた。「休んでも経費がかかる」「補償がないと休業できない」-。営業を続ける施設からは、国や自治体への要望と悲鳴が聞こえてきた。
【1】は営業継続するか
【2】は国や自治体への要望
■映画館
【1】営業時間短縮。閉めると給料払えない
【2】営業自粛を政府や自治体が決めて
神戸市中央区の元町映画館は8日も開館した。9日以降は、営業時間を4時間ほど短縮し、午後6時ごろに閉める。
林未来支配人(45)は「うちはチケット収入だけで従業員の給料を賄っている。政府が補償してくれない限り、閉館という選択肢はない」とため息。
同館では2月から入館者が減少し、3月末以降は激減。1本の上映作品に客が1人しか入らないケースもあるという。
「状況的には閉めた方がいいと思う。でも閉館が長引けば経営が持たない」と林支配人。「緊急事態宣言といっても、判断は全て事業所に丸投げ。閉館中の給料分だけでも補償し、営業継続の可否を政府や自治体が決めてほしい」と強調した。(西竹唯太朗)
■カラオケ
【1】営業継続。本社から指示がない
【2】休業を強制にしてほしい
JR三ノ宮駅近くのカラオケチェーン店は通常通り営業を続ける。20代の男性店長は「本社から指示がないので開けている。いつ休業になるかどうか、現場では分からないんです」と声を落とす。
3月の売り上げは前月の半分に落ち込んだ。ただ4月に入って周辺のカラオケ店の多くが店を閉めたため、客足は変わらないという。この日も若者のグループやお年寄りらが訪れた。
「店を閉めると従業員に給料を払えなくなるので、店を開ける会社の気持ちも分かる。でも感染のリスクを負わず、僕も家にいたい」と男性店長。
国には「営業しなくてもいい経済対策を考え、休業を強制してくれるといいのに」と訴えた。(小谷千穂)
■ヨガスタジオ
【1】臨時休館。安全を優先
【2】補償はあるのか?
西宮市のヨガスタジオは7日から臨時休館に入った。3月1日に市内で初めて感染者が確認された後から、1~2割の会員が休会希望を申し出るなど影響が出始めたという。
スタッフはマスクを着け、レッスン中も窓を開けるなどして感染予防に努めてきたが、4月に入ってさらに休会希望が増えた。
「この状況であれば無理して営業するより、安全を優先することにした」と男性店長。
だが店を閉めても家賃などの固定費はかかる。
「国や県がどんな補償をしてくれるのか、そもそも補償はあるのか。こちらも努力するが、よくなる兆しが見えないと再開のめども立たない。早く収拾させてほしい」と願う。(中川 恵)
■ネットカフェ
【1】営業継続。長期利用者がいる
【2】補償を明確に示してほしい
阪急神戸三宮駅近くのネットカフェ「キャビNET神戸三宮店」。24時間営業の同店は、8日も通常通りにオープンした。新型コロナ感染拡大の影響で昼間の利用客らが減るなど、3月の売り上げは好調な月に比べ、3割ほど減少したという。
店長の高木泰輝さん(36)は「昨年5月の開店から順調に来ていたが、こんな形で苦境に立たされるとは…。立地上、家賃も高く、補償を明確に示してほしい」と漏らす。
出張のため、2週間や1カ月単位の利用客も多い。60室あるうち現在、稼働しているのは20室ほどで、多くは長期滞在者だ。
高木さんは「休業しないか不安に感じている人もいる。簡単には休めない」と話す。(谷川直生)
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