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同志社大教授で世界人権問題研究センター所長の坂元茂樹氏
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同志社大教授で世界人権問題研究センター所長の坂元茂樹氏

 新型コロナウイルスに感染した人や家族、医療従事者らが、いわれなき差別や中傷を受ける事例がインターネット上で次々と表面化している。同志社大教授で世界人権問題研究センター(京都市)所長の坂元茂樹氏(国際法)は、ハンセン病患者への差別撤廃に取り組んできた経験を踏まえ「私たちは、互いを思いやれる社会を、コロナウイルスによって奪われないよう行動すべきだ」と訴える。(井原尚基)

 ー患者らに対してだけでなく、医療従事者の子が保育所から登園を拒否されるといった事例が報告されている

 「感染を過度に恐れる心が、患者のみならず医療従事者やその家族らまで差別する事態を招いている。新型コロナウイルス感染症は恐ろしい病気だが、真に恐れるべき対象はウイルス。決して感染した人ではない。

 私たちは誰もが病気になる可能性があり、医療従事者に送るのは差別のまなざしではなくエールであるはずだ。今、最も大切なのは、密閉、密集、密接の3密を避け、こまめな手洗いを行うことが予防につながるといった病気に対する『知識』だということを再確認したい」

 ーこれまで、国連人権理事会諮問委員会委員としてハンセン病患者らへの差別撤廃に携わった。その経験から現状をどう見る

 「私たちの国は、ハンセン病患者を90年間にもわたって強制隔離し、患者だけでなく回復した人や家族に対しても差別し続けてきたという負の歴史がある。安倍晋三首相が4日の記者会見で『差別や誰かを排斥しようとする行動は、ウイルスよりも大きな悪影響を社会に与えかねません』と述べたのも、ハンセン病患者の家族に対する被害を認定した昨年の熊本地裁判決を踏まえているのだろう。

 どんな病気にかかった人も差別してはならないという教訓を、今回も生かしてほしい」

 ー政府による外出自粛要請に従わない人々を一般の住民が監視、攻撃する「自粛警察」という言葉も聞かれるようになった

 「戦時中、軍や国策に非協力的な人々を『非国民』と呼び、排斥したことを思い出す。日本は、集団のなかの多数派が、少数派に対して同じ行動をするよう暗黙のうちに強制する同調圧力が非常に強い。そうした社会で、法律に基づく権限を持たない一般市民が互いに監視し合い、同じ市民に対して攻撃的な行動に出ると、最終的に、自分たちの基本的な自由を阻害することになる。

 私たちがつくりたいのは思いやりのある社会だ。コロナウイルスを恐れるあまり、ごく当たり前の人間性が失われてしまわないように行動すべきだ」

【さかもと・しげき】1950年、長崎市出身。国際法学会代表理事などを歴任。神戸大名誉教授。大阪市ヘイトスピーチ審査会長も務める。兵庫県西宮市在住。

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