兵庫県は15日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、特別措置法に基づく休業要請について、部分的な解除を決めた。引き続き国による緊急事態宣言の対象地域だが、知事の裁量の範囲で独自の解除基準に照らして判断した。感染拡大の防止を重視しつつ、社会経済活動に配慮するため、商業施設や映画館、大学などの休業要請を16日午前0時から解除した。
井戸敏三知事は会議後の会見で、県内の新規感染者数は減少傾向だが、感染拡大の「第2波」に対する懸念を強調。要請の一部緩和について「感染防止対策を持続させながら社会生活との調和の第一歩を踏み出したと理解してもらいたい」と県民に訴えた。
県境を越えた人の移動を促進しないよう、解除の対象範囲は、既に独自基準「大阪モデル」の達成で段階的な解除を決めた大阪府と調整し、ほぼ同じにした。
劇場や映画館、大学、百貨店などの商業施設は、適切な感染防止対策を求めた上で要請を解除した。パチンコ店やネットカフェ、ゲームセンターなどの遊興施設は、床面積が千平方メートル以下の店舗に限って解除。ただし、感染が広がっていない但馬や西播磨、丹波地域の遊興施設は大規模店も全面解除とした。
居酒屋を含む飲食店については、営業時間を現在よりも2時間延ばして午後10時まで、酒類の提供も同様に午後9時までとし、要請を緩和した。
一方、これまでに全国でクラスター(感染者集団)が発生した接客を伴うスナックなどの飲食店やライブハウス、スポーツジムなどは休業要請を続ける。
美術館や博物館なども休業要請を解除したが、県は3密(密集、密接、密閉)の回避が難しいとして県立施設の県内全域での再開は見送り、但馬や西播磨、丹波地域にある施設のみ18日から順次開館する。
県は14日に2項目の解除基準を公表し、同日を終えた時点で達成を確認。また、再び感染が広がる可能性があるため、新規感染者数の過去1週間の1日平均が10人以上になった場合、休業や自粛を要請する。
これらの基準は、国による宣言が解除された場合も、対応を判断する指標として注視する。井戸知事は「感染拡大の兆候があれば県が自主的に判断し、県民に自粛を要請することはあり得る。地域の安全は地域が守るという姿勢で臨みたい」と強調した。(井関 徹)
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