新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止が決まった、将棋の第10期加古川青流戦(兵庫県加古川市など主催、神戸新聞社共催)。棋戦そのものの中止はこれが初めてだが、囲碁、将棋ともに対局やタイトル戦の延期が相次ぎ、日程も定まらない状態が続く。関係者からは事態の早期収束を願う声が聞かれる。(溝田幸弘)
同棋戦は四段と奨励会三段のリーグ上位、女流棋士とアマチュア選抜大会を勝ち抜いたアマ強豪で争われる、持ち時間各1時間のトーナメント戦。久保利明九段、井上慶太九段、稲葉陽八段、神吉宏充七段、船江恒平六段とゆかりの棋士が多く、「棋士のまち」を掲げる同市が2011年に創設した。
初代優勝者は船江六段(当時四段)。その後も永瀬拓矢二冠(同五段)が制するなど若手棋士の登竜門に位置づけられてきた。15年には稲葉八段の兄、稲葉聡さんが、アマとして初めてプロ公式戦で優勝し、注目を集めた。
今期は40人がエントリーし、開幕戦は今泉健司四段と折田翔吾四段の一局が予定されていた。今泉四段はプロ編入が2014年に制度化されてからの編入試験合格者第1号で、折田四段は第2号。共に元奨励会員で、苦労人同士の注目の一戦となるはずだった。
しかし、政府の緊急事態宣言を受けた同市が、同市主催のスポーツ、文化、市民イベントを当面すべて自粛しコロナ対策に集中する方針を決定。今期は中止を余儀なくされた。
日本将棋連盟常務理事の井上九段は「加古川市には加古川青流戦のほかさまざまなイベントでお世話になり、将棋への愛情を示していただいている。その上での決断はそれほどの状況にあるということで、やむを得ない。早く状況が落ち着き、来期から仕切り直すことができれば」と話している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、将棋では名人戦7番勝負や女流王位戦5番勝負(神戸新聞社主催)、囲碁では本因坊戦7番勝負、十段戦5番勝負第3局以降などが当初予定から延期されている。
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