神戸市立王子動物園(同市灘区)は19日、中国から借り受けているジャイアントパンダの雌「旦旦」の契約終了が決まり、中国に返還すると発表した。タンタンは中国との共同飼育繁殖研究で2000年に来日。2度の契約延長を経て、貸与期限が今年7月に迫っていた。同園唯一のパンダで、市は中国側に契約延長を要望していたが、24歳という高齢を理由に返還を求められたという。
タンタンは00年7月16日、雄の初代「興興」と来園した。2代目コウコウとの人工授精に2度成功したが、最初は死産。08年に生まれた赤ちゃんは3日後に死んだ。10年にコウコウが急死してからは1頭に。タンタンの契約は10年と15年にそれぞれ5年間延長された。
神戸市によると3月末、中国野生動物保護協会から協定に基づく返還を求める連絡が口頭であり、4月上旬に文書が届いた。同協会は「野生パンダの生息地で気候などの面で体への負担が少なく、多くの仲間がいる古里で過ごさせたい」と説明。四川省の「中国ジャイアントパンダ保護研究センター都江堰基地」に移送する。市が求めてきた新たなつがいの貸与について言及はなかったという。
新型コロナウイルスの影響で日本から最寄りの四川省の空港までの直行便は運航しておらず、移送時期は未定。神戸市の久元喜造市長は「タンタンは阪神・淡路大震災後の神戸を元気づけるため、中国からやってきてくれた。多くの市民、子どもたちを励ましてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱい」とコメントした。(石沢菜々子)