地震や台風などの自然災害への備えとして、神戸市消防局は油圧ショベルを搭載した消防車両「神消(しんしょう)34」を導入し、運用を始めた。訓練を受けた部隊が操縦し、現場で土砂やがれきを撤去して進路を切り開いたり、人命救助に当たったりする。無線操縦やドローンとの連携も想定する。同市消防局は「これまでより迅速で効率の良い安全な救助活動が可能になる。積極的に活用したい」としている。(竹本拓也)
同市消防局によると、過去の土砂災害では、自前の重機がないため道中の土砂を撤去できず、回り道を迫られることもあった。2018年の西日本豪雨など、県外に応援出動した隊員の多くが、重機が早期救助に果たす役割を実感した。兵庫県内の消防で自前の重機を導入したのは宝塚市に続き2例目。導入費は重機を含め約5080万円。
神消34に搭載する小型の油圧ショベルは、通常は土砂を掘る「バケット」が付いているが、先端部分の交換ができる。とがった鉄の棒を取り付けるとアスファルトやコンクリートを破壊できる。人間の手のようなつかみ具は、がれきなどの重量物をつかんで移動させる作業に向いている。
車両は全長8・2メートル。油圧ジャッキで前方を持ち上げ、荷台を斜めにすると重機を降ろせる。狭い道や住宅密集地の多い神戸の地形に対応できるよう、荷台は短く設計した。アームに取り付けられた筒先から放水もできる。最大100メートル離れた地点から無線操縦もでき、化学火災など、隊員が近づけない危険な現場でも動かせる。
神戸市消防局の特別高度救助隊18人は5月中に、操縦訓練と安全研修を終えた。ドローン操縦を担う特殊災害隊と一体で、3交代の出動態勢を組む。災害が起きた場合は、ドローンが先遣隊として上空から被害状況を把握し、救助作業が安全にできるかを確認。その後に神消34を出動させるといった運用ができる。
特別高度救助隊の古川誠消防士長(35)は「通常の建物火災などでも質の高い救助ができるよう、さまざまな局面を想定した訓練を重ねたい」と話している。











