新型コロナウイルス感染拡大の予防で、臨時休館していた落語寄席の対応が割れている。感染拡大防止のため、演芸場などの営業は客席数の制限が求められ、神戸新開地・喜楽館(神戸市兵庫区)、天満天神繁昌(はんじょう)亭(大阪市北区)は採算面から休館を継続する。一方、米朝事務所主催の動楽亭(同市西成区)は「閉塞(へいそく)感に風穴をあけたい」と客席数を3分の1以下に減らし、約80日ぶりに再開した。(金井恒幸)
西成の商店街近くにある動楽亭。1日の寄席再開日は、開演の約2時間前から落語ファンが間隔を取りながら列をつくった。最大100人収容できるが、当面は席の間隔を1メートル以上空けて30人に限定。入場客に検温を行い、消毒もしてもらう。換気回数も増やした。
座椅子のため席数を変更しやすいことや、会場に窓が多く換気しやすい点が早期再開を可能にした。
席亭の桂ざこばさんは「皆さん、お元気でした? 休みの間、ずっと嫁さんと2人でコロナのテレビ見てました」「わろたらあきません。つばが飛びます」とあいさつ。場を和ませた。
採算度外視で、6月は20日まで毎日寄席を開き、24~28日は初めて有料で動画の生配信を行う。担当者は「感染予防に配慮しながら徐々に座席増も考えたい」と話す。
一方、繁昌亭は30日まで休館。喜楽館もチケットの払い戻しなどに対応する窓口業務を再開したものの、7月5日まで休館を続ける。座席約210席の半数足らずしか客を入れられないのでは、採算が取れないためだ。制限の緩和を見込み、2周年を前にした再開を視野に準備を進める。
3月から昼公演を休止しており、4カ月近く収入がほぼゼロの危機的状況。1万円以上寄付した人に当日入場券が割引になる名刺100枚(5万円以上の寄付は200枚)を進呈する制度「喜楽館タニマチ」を始めたほか、収入策として動画配信も検討している。
再開への参考にと、動楽亭に足を運ぶ喜楽館マネジャーの山本憲吾さんは「安心・安全と運営が両立できる形を考えたい」と前を向いた。
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