神戸市立六甲山牧場(神戸市灘区)に、人を乗せる牛のホルスタインがいる。3歳の雌の「ランボルギーニ」。その名の通り、スーパーカーのように爆走-とはいかないが、飼育員の手綱さばきに従って悠然と歩く姿は、まるで馬のようだ。
「もともと人懐こい性格で、背中やおなかをさすっても嫌がらなかった」と担当の飼育員前田浩樹さん(31)。牧場の馬に交じって、離乳した生後3カ月ごろから人を乗せる訓練を始めたという。
1年ほどで背中に鞍を着けることができるようになり、水を入れたタンクを人の代わりに乗せて歩けるようになった。2017年秋、前田さんが初めて“乗牛”に挑戦。「落ち着いていて、とても安定していた」と振り返る。
一緒に飼育されている馬とも仲が良く、背中をなめ合っていることも。前田さんによると、耳の動きも馬と似ているといい、集中した時は上に向かってぴんと立てたりする。
今後もさらに訓練を重ね、牧場の「乗馬体験コーナー」でのデビューを目指す予定。前田さんは「牛は人間にとって身近な存在。動物と触れ合う一環として乗ってもらうことで、もっと牛を好きになり、関心を持ってもらえたら」と話している。(斎藤雅志)