理化学研究所(理研)が神戸・ポートアイランドに整備中のスーパーコンピューター「富岳」の搬入が完了し、16日、報道陣に公開された。化粧パネルは、先代の「京」が赤だったのに対し、富士山をイメージした青。すでに一部は新型コロナウイルス対策のための試験運用が始まっている。約1100億円かけた“日の丸スパコン”は、2021年度の本格運用に向け調整が続けられる。
理研計算科学研究センターによると、「富岳」を構成する計算機は幅80センチ、奥行き140センチ、高さ220センチ。「京」より奥行きが60センチ増えた。その計算機が、幅50メートル、奥行き60メートルの広大な専用室に432台並ぶ。
計算機の数自体は「京」の半分だが、中央演算処理装置(CPU)を「京」の4倍となる384個積んでいる計算機が多く、全体のCPU数は約2倍に。本格運用時には「京」の最大100倍の性能を目指す。
この日は、富岳の特徴などを紹介するイメージ映像が投影され、照明が戻ると、12枚の化粧パネルで屏風絵のように描かれた富士山が浮かび上がった。
松岡聡センター長は「富岳は、高い頂と広い裾野を持つ富士山のように、圧倒的な計算パワーとスマートフォンのソフトでさえ動く汎用性を併せ持つスパコンになる」と話した。(霍見真一郎)
