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 兵庫県内にある保育所や認定こども園など全ての保育施設1669棟のうち、11・9%に当たる198棟(2019年3月末時点)が現行の耐震基準を満たしていないことが、県などへの取材で分かった。現行の建築基準から外れた小学校のブロック塀が倒れ、通学中だった女児が犠牲となった大阪府北部地震から18日で2年。子どもたちの命を守る防災・減災対策が急がれる。(藤井伸哉)

 県によると、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた施設のうち公立68棟、私立130棟の計198棟で耐震化が完了していなかった。耐震未完了が1634棟中247棟(15・1%)だった17年3月末時点からは2年間で3・2ポイント改善しているが、県内の公立小中学校の耐震化率がほぼ100%であるのに比べると大きな差がある。

 なぜ小中学校に比べて耐震化が進まないのか。県によると、保育施設は夏休みなどのまとまった長期休暇がなく、小中学校よりも工事がしにくい点があるという。また、保育所の新築や増改築を支援する国の制度で耐震改修の補助も受けられるが、待機児童問題が深刻化する中、定員拡大の対策に市町や施設側が注力し、耐震改修が後回しになる傾向もあるとしている。

 保育施設の耐震化については、外部の専門家が担う県の包括外部監査人も19年度に問題を指摘。「阪神・淡路大震災を経験した兵庫県で、子どもを預かる保育施設が耐震基準を満たしていないことは受け入れられない」とし、さらに「防災を含む安全面での対応が不十分なまま、新規施設への助成が行われていないか」との懸念も指摘している。

 県の担当者は「耐震改修は建物所有者の努力義務。加えて管理監督責任は市町にあり、現時点で県の制度はないため、国制度の周知が精いっぱい」とする。

 保育施策に関わる県内の自治体職員は「耐震診断だけでも100万円以上かかり、改修はさらに多額の費用が必要となる。保育施設間の競争激化や保育士の待遇改善などで経営が厳しくなる中、なかなか耐震改修に踏み切れないのではないか」と分析する。

■対策にスピード感を/兵庫県立大大学院の室崎益輝教授(防災計画)の話

 子どもの命を守ることが最優先。小中学校の耐震化率と開きがあり、対策にはスピード感が必要だ。一義的には国の役割かもしれないが、地震が起きてからでは遅い。県や市町も独自の取り組みを考えなければならない。もし、待機児童解消と耐震改修が両てんびんにかけられているような状況があるのなら、別々の枠で補助の仕組みを作るべきだ。

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