高校放送部の活動が盛んな兵庫県で、アナウンスや番組を披露する大会の独自企画が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で放送部の「甲子園」ともいえるNHK杯全国高校放送コンテスト(Nコン)が中止に。教員や放送業界に進んだ卒業生らが代替大会や特別番組を準備、現役生の青春を後押しする。(中務庸子)
放送部はアナウンスや朗読の練習に励み、ラジオ、テレビ番組を制作する。最も大きな舞台が毎年夏のNコン。兵庫県予選は参加校数が約120校と群を抜いて多い激戦区で、全国入賞の回数も多い。
しかし、4月に中止が決まった。「このままでは終われない」。運営に協力する兵庫県高校教育研究会の教員らが、代替大会を考えた。
部員らが一堂に集まることはせず、DVDなどに録音、録画した内容を審査する。5月から県内放送部に呼び掛けると、74校から個人・団体約360件の申し込みがあった。
発起人で、東播磨高校(兵庫県稲美町)放送部顧問の大江真理教諭(56)は「感染が落ち着けば、8月に決勝大会を生で開くことも考えたい」と話す。
同校放送部の藤原菜々美さん(17)は「休校中も自宅で発声練習に励んでいたから、Nコンの中止を聞いた時はショックと悔しさで泣いてしまった。先生たちが舞台を用意してくれて、気持ちを切り替えることができた」と喜ぶ。
一方、ラジオ関西は、高校放送部の作品を紹介する約2時間の特別番組「♯放送部の夏 高校アナウンスフェス」を、8月9日午前10時から予定している。
朗読の課題として、兵庫県出身の作家玉岡かおるさんと貴戸湊太さんが短編を提供。CM制作部門もあり、六甲バターなど地元企業が協力する。応募作品の数にもよるが、できる限り紹介するという。
企画したのは、同局のアナウンサー津田明日香さん(24)。小野高校(小野市)で放送部に所属し、Nコンの朗読で全国2位になった。「自分の原点。人に伝える素晴らしさを実感してほしい」と話す。応募方法はラジ関ホームページに掲載している。
これらとは別に、会員制交流サイト(SNS)でつながる放送部経験者や現役生有志らが、オンライン全国大会「みんなで放送コンテスト」を呼び掛けている。動画サイトなどで作品を共有し、優秀作品を選ぶ。
審査に加わるテレビ朝日アナウンサーの大西洋平さん(35)=東京都=は小野高卒業生で、「高校生の生き生きとした声や作品が楽しみ」。コンテスト公式ホームページで7月中旬まで参加を募る。
【記事特集リンク】新型コロナウイルス











