定額制(サブスクリプション)でデザインを請け負うサービスを、兵庫県加古川市のグラフィックデザイナー西嶋輝(あきら)さん(32)が始めた。「デザサブ」と名付け、企業や個人から月10万円で、名刺やチラシ、パッケージ、ウェブ広告のデザインを受注。見積もりの手間が省力化でき、ネット販売のPRに向いているなど、コロナ時代のビジネスモデルとして注目されている。(小森有喜)
同市出身の西嶋さんは広告制作会社などを経て、2015年に独立。デザイン作品の優秀作を紹介する「日本タイポグラフィ年鑑」に、作品が掲載されたこともある。
依頼人のデザインや広報について、サポートできる方法を探す中、着目したのが定額制。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり消費」を背景に、定額制は音楽や動画などの分野で急速に普及している。同様の方法を取り入れ、5月から受け付けを始めた。
納期の目安は、名刺やウェブ広告のバナーなら1週間程度、A4判チラシやパッケージは2週間程度-など。契約者は同時に2件以上は依頼できず、1件が終われば次の案件が発注できる。
企業の広報媒体やサイトの制作を月額制で請け負うデザイン会社はここ数年、増えている。ウェブ広告は関心を引くため、こまめな更新が求められるが、定額制ならコストを見通せるため、事業者のニーズがあるという。制作物ごとに見積もりをする必要がなく、いち早くデータを納入できる利点もある。
西嶋さんは「専門の社員を1人雇うよりコストは抑えられる。コロナ禍でネット販売を始めたものの、PRで苦戦している事業者にも利用してもらえれば」と話す。
販路開拓に取り組む費用の一部について国が助成する「小規模事業者持続化補助金」を契約者が申請し、審査が通れば自己負担は3分の1に抑えられる。
西嶋さんのメールinfo@and‐n.net
